ウェルビーイングと健康経営の違い|成功事例や取り組みを一挙紹介
最近、人事分野で注目されている「ウェルビーイング」は、もともと個人の幸福感や生活の質に関連する用語として使用されていました。しかし、2020年頃からは、企業が従業員の健康や充実した生活を支援する「ウェルビーイング経営」としての意味合いで広がりを見せています。これと並行して、「健康経営」も普及していますが、この二つの間には明確な違いがあることをご存知ですか。この違いや、成功事例・取り組みを紹介していきます。
目次
ウェルビーイング経営と健康経営の違いとは
「ウェルビーイング経営」と「健康経営」の2つの違いについてみていきましょう。
ウェルビーイング経営と健康経営では、考え方の「焦点」が異なります。
ウェルビーイング経営では従業員の全体的な幸福感が焦点となる概念です。ここで指す「全体的な幸福感」には、職場の満足度やワーク・ライフ・バランス、あるいは個人の成長や自己実現につながる取組みなどが含まれています。
一方、健康経営は、主に従業員の身体的健康とメンタルヘルスが焦点となる概念です。病気の予防・健康的な生活習慣の促進・ストレスの管理といったものが重視されます。
ウェルビーイング経営と健康経営の「目的」の違い
どのような「目的」で施策がなされるかという点にも違いがみられます。
ウェルビーイング経営は、従業員の幸福感を高めることによって、従業員の忠誠心や企業へのエンゲージメント(愛着)の強化を目的とすることが一般的です。あるいはモチベーションの向上や創造性の促進を狙いにする場合もあります。ビジネスの成長と成功を間接的に支えることを目的に施策が行われるといえるでしょう。
対して健康経営では、従業員の健康を維持・向上させることによって、医療費の削減や勤務中の事故の低減を実現し、さらには労働生産性を向上させることを目的に施策を行います。具体的なビジネス上のメリットを直接的に追求しているといえるでしょう。
ウェルビーイング経営と健康経営の「方法」の違い
目的を実現させる「方法」にも違いがみられます。
ウェルビーイング経営を実現するためにはその方法として、従業員のワーク・ライフ・バランスの向上につながる施策が主に実施されます。例えば、柔軟な勤務時間制度・リモートワークの採用・キャリア開発の機会の付与などです。社員の趣味や家族との時間を重視する文化の醸成に務めることもあります。これらの施策によって、ウェルビーイング経営では、従業員の幸福感を高めます。
一方、健康経営では、従業員の身体的・精神的健康のサポートや、具体的な健康サポートの実施が主な施策です。健康診断・フィットネスプログラム・栄養指導・メンタルヘルスサポートといったものが、施策の例として挙げられます。
総じて、ウェルビーイング経営は、従業員の「幸福感」を中心にした概念だといえます。健康経営は言葉のとおり「健康」へのアプローチを重視する概念といえるでしょう。ただし、ウェルビーイング経営と健康経営は、「焦点」「目的」「方法」で異なるとはいえ、どちらも従業員と企業の双方に利益をもたらすという点では、共通するものがあるといえます。
ウェルビーイング経営とは
ウェルビーイング経営とは、具体的にはどのようなものなのでしょうか。以下において、その概念・目的・対象について解説します。そのうえで、ウェルビーイング経営の具体例についてみていきましょう。
ウェルビーイング経営の概要
ウェルビーイング経営は、従業員の健康だけでなく、幸福感や満足度、ワーク・ライフ・バランスの向上を目指す経営手法および経営概念です。
ここでいう健康とは、WHO(世界保健機関)の憲章前文にある「健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態(well-being)にあることをいいます」がベースとなっていると解釈されています。ウェルビーイングには2つの側面があると考えられています。1つは「主観的ウェルビーイング」です。幸福感や満足度が主観的な評価で測られます。もう1つは「客観的ウェルビーイング」です。外部からの客観的評価で図られる幸福感や満足度です。
一般的にウェルビーイング経営では「主観的ウェルビーイング」が重視されていると捉えられており、個人の人生を幸福にする結果が、企業業績にもプラスの影響を与えると考えられています。
ウェルビーイング経営の目的
ウェルビーイング経営の目的は、従業員の生活全般にわたる幸福感や満足度を向上させることで、企業の成長に寄与することにあります。
単なる従業員の幸福追求だけでなく、従業員のモチベーション、創造性、イノベーションを促進し、結果として従業員の忠誠心や従業員エンゲージメントを向上させることが主な狙いです。
従業員が充実した生活を送り、働きやすい環境を作り出すことは、結果として企業全体のパフォーマンスを向上させるという考え方がその根底にあります。企業と従業員の双方にとって利益がある経営戦略と言えるでしょう。
ウェルビーイング経営の対象
ウェルビーイング経営の施策の対象となるのは、企業で働く従業員全体です。しかし、従業員が幸福感を得るには、その従業員個人だけが対象となる施策では足りません。
そのため、従業員の家族や親族、関連する企業や地域社会、株主などのステークホルダーにまで、施策の対象範囲を拡大することがあります。
また、生活への支援だけでなく直接的な健康支援を行うケースも珍しくありません。例えば、生活習慣病対策など身体的健康を維持するための施策やメンタルヘルスに着目した施策がなされる場合もあります。
ウェルビーイング経営の具体例
ウェルビーイング経営では実際にどのような施策が取られるのでしょうか。施策は多くの場合4種類の系統に分類できます。
1つ目はヘルスケアです。社員の健康を維持するための施策全般です。具体例としては、健康診断・ストレスチェック・予防摂取の実施などが挙げられます。
2つ目は社内コミュニケーションの向上に関するものです。社内部活動への支援や談話室の設置などは、コミュニケーション向上の具体的な施策例といえるでしょう。
3つ目は労働環境の改善策の実施です。フレックスなど柔軟な勤務時間制度の採用・リモートワークの導入・キャリア開発研修やメンター制度といったキャリア開発の機会の創設などが具体的な例です。
4つ目は福利厚生を充実させること。具体的には、家族支援・子育て支援などの手当の拡充や、外部施設の(フィットネスクラブや映画館など)利用補助などです。
従業員の趣味を後押しする制度や、家族との時間を重視する文化の醸成など、社員の健康だけでなく幸福感を追及する施策も、福利厚生の1つといえるでしょう。
健康経営とは
健康経営とはどういうものを指すのでしょうか。以下において健康経営の概要・目的・対象・具体例を示します。
健康経営の概要
健康経営とは、経営的な視点から従業員等の健康管理や健康増進を投資の1つとして捉え、施策を戦略的に実践する経営手法です。
つまりは企業の持続的な成長と従業員の健康を同時に追求します。健康経営が指す健康には、従業員の身体的健康だけでなく、精神的健康の維持や促進、あるいは病気の予防が含まれています。
なお、健康経営は日本の成長戦略の1つです。経済産業省が策定した「日本再興戦略」において、国策としての健康経営の普及に務める旨が記されています。
健康経営の目的
健康経営の目的は、経営面から従業員の健康管理に働きかけることで、生産性を向上させることにあります。
従業員の健康が保たれるようになると、結果として企業全体のパフォーマンスが向上するからです。また健康経営を導入すると、生産性の向上だけでなく、離職率の低下や医療費の削減などにもつながり、経営が好循環しやすくなります。
健康経営の対象
健康経営の対象となるのは、基本的に従業員全体です。身体的健康の維持だけでなく、生活習慣病などの予防や早期発見、メンタルヘルス対策も、健康経営の施策では重視されています。
なお、インセンティブ制度と組み合わせて、特定の人のみを対象として健康経営の施策が行われるケースもあります。例えば、禁煙や減量についての施策です。これらは一部の従業員しか対象となりません。そのため、ほかの従業員が不公平感や不満を感じない施策となるように設計する必要があります。
健康経営の具体例
健康経営の取組み例の多くは、従業員の健康を配慮した職場環境の改善に主眼がおかれたものです。
具体例としては、健康診断の実施や定期的なストレスチェック、メンタルヘルスサポートの強化などが挙げられます。社内にフィットネス施設を作ったり、社員食堂のメニューに健康的な食事オプションを追加する企業もあります。
ウェルビーイング経営・健康経営が注目される背景
ウェルビーイング経営や健康経営が注目されるようになった背景には、「労働人口の減少」や「働き方改革の推進」といった社会変化が存在しています。それぞれの変化が経営に対してどのような影響を与えたのか、以下でみていきましょう。
労働力人口減少による人材不足
21世紀以降の多くの先進国家において、少子高齢化による労働力人口(15歳以上の実際に労働に従事する人および働く意思を持つ人の数)の減少は、共通する悩みとなっています。
特に日本では少子高齢化の影響は顕著です。総務省が発表した「令和4年情報通信に関する現状報告の概要」では、生産年齢人口(15歳以上65歳未満の年齢層)は、1995年の8,716万人がピークで、以降は減少を続け、2040年には生産年齢人口が6,000万人を切ると予想されています。当然ながら労働力人口も低下していくでしょう。
このような背景のなか、限られた人材プールから優秀な人員を集めることが今後ますます難しくなっていくのは、予想に難くありません。人材の確保が困難な状況において労働生産性を維持するには、既存の従業員の能力を最大限に活用することが重要です。
それには、従業員の健康を守り労働生産性を維持する、あるいは幸福感を高め人材の流出を防ぐことが効果的といえます。ウェルビーイング経営および健康経営は、従業員が健康で満足感を持って働ける環境を提供し、魅力ある職場を維持するのに役立ちます。その施策の多くが、離職率の低下・生産性の向上・勤務満足度の向上に結びつくためです。
そのため、ウェルビーイング経営および健康経営は、人材の確保と維持を意識する企業に注目されるようになりました。
働き方改革の推進
日本においてウェルビーイング経営および健康経営が注目された背景には、働き方改革の推進も影響しています。働き方改革とは、働く人が柔軟な働き方が選択できるようにすることで、労働者が働きやすい社会の実現を目指す、政府主導の取組みです。働き方改革の推進によって、長時間労働の削減、ワーク・ライフ・バランスの改善・労働条件の最適化など、従業員の健康や幸福感が重視する施策が企業に求められるようになりました。
ウェルビーイング経営および健康経営のベースには、従業員が健康で幸福ならば、仕事の生産性や創造性が高まり、企業全体のパフォーマンスが向上するという考え方があります。そして、従業員が健康で幸福となる施策の多くが、働き方改革の目標に沿った職場環境の構築を実現させるものでした。
そのため、ウェルビーイング経営および健康経営は、改革の必要性に悩んでいた企業の救いの手となる経営戦略として、広く注目されるようになりました。
ウェルビーイング経営・健康経営に取り組む企業の成功事例
各企業はどのようにウェルビーイング経営および健康経営に取り組んでいるのでしょうか。以下において、各企業の具体的な成功事例をみていきましょう。
成功事例1/塩野義製薬
塩野義製薬株式会社は、2014年に「健康宣言」を制定し、経営トップが指揮する健康経営を開始。健康に関する課題を洗い出した上で、企業・産業医・保険組合のタッグで、施策の策定や効果測定に取組みました。2018年にはさらに健康宣言をアップデートしています。塩野義製薬株式会社の取組みにおいて特徴的なポイントは、健康を損なうまでの経過と予防に着目したことです。
具体的には、面談による健康調査や保健指導、社員食堂でのヘルシーメニューの導入などを施策として取り入れました。医療機関や産業医への受診も奨励しています。これらの施策は、特に生活習慣病の予防・改善に効果的です。メンタルヘルス対策としては、環境改善と問題解決がしやすいように、カウンセラーが組織的に問題へと介入できるようにしています。さらに労働環境の改善にも着手。在宅勤務制度の導入、フレックス勤務におけるコアタイムを廃止しています。運動習慣を確保する対策としては、健康ウォークイベントを実施するようになりました。
少し変わった施策としては肩こり・腰痛対策にポケットセラピストを導入しました。これは、専門家がオンラインで相談を受け、オーダーメイドの改善プログラムを提案するというものです。体調の不良を改善し、一人当たりの労働生産性を高める効果が見られました。特に、テレワークにおける体調管理に効果的であるとして、従業員にも高い評価を受けています。
これらの施策の結果、塩野義製薬ではメンタル不調者と喫煙者の減少に成功しました。加えて、健康ウォークイベントの参加者のおよそ60%が、生活習慣病のリスクを低減させるなどの効果を発揮しています。
参考/塩野義製薬HP
成功事例2/住友林業
住友林業株式会社では2021年に「住友林業グループ健康経営宣言」を制定しました。その中において「木と生きる幸福」をテーマに、すべての従業員とその家族の心身の健康保持および増進に務めることを宣言しています。
具体的には、社員の健康を保持あるいは増進させる施策として、健康診断のほか、新入社員研修における健康管理セルフケア研修・ウォーキングイベントの開催・健康LIVEセミナーの実施・衛生管理者セミナーの実施、などを行いました。その結果、プレゼンティーズム(健康問題による業務効率低下が見込める状況)が改善されました。
なお、住友林業株式会社では、定期健康診断に2013年から予約システムを採用しています。予約システムを採用したことによって、住友林業における健康診断の受診率は100%を維持しているそうです。
メンタルヘルスケアの対策としては、社外提携EAP機関との連携によるメンタル不調者のフォローや復職支援を推奨しています。さらに休業時および復職時のサポートを強化しました。加えて、定期的なストレスチェックを実施し、メンタル不調の予防に役立てています。
また、ワーク・ライフ・バランスのとれた労働環境づくりにも住友林業株式会社は着手しています。例えば、リフレッシュ休暇による連続休暇の取得を「3日」から「5日」へ変更。さらに年間14日以上の有給休暇取得の奨励(夏季休暇などを含む)をしています。平日の休みが多い従業員にはファミリーフレンドリーデー休暇によって、月1日は土日に休暇を取得できるようにしました。これによって、家族と過ごす時間や趣味にあてる時間が増加することが期待されています。
以上のような施策に取り組んだ結果、住友林業では残業時間や心身の疾患を理由とする退職者を減少させることに成功しました。
参考/住友林業HP
成功事例3/オムロン
オムロン株式会社における健康経営の活動方針は3つの軸からなっています。1つ目は「イノベーションを起こす人と組織をつくる」こと。前向きに挑戦できる環境を作ることで仕事にやりがいや楽しさが感じられるようにします。2つ目は「心身が健康で、社員が自分の人生を楽しんでいる状態をつくる」ことです。健康に配慮した生活を過ごすことで、プライベートも楽しめるようにします。3つ目は「オムロンを卒業しても社会で活躍し続ける社員でいっぱいにする」こと。将来にわたって活躍できる健康づくりを心掛け、退社後も充実した人生がおくれるように配慮します。
この3つの軸の方針に従い、オムロン株式会社は全社共通の指標「Boost 5」を設け、1人でも多くの社員が指標を達成できるように施策を導入しました。指標は、運動(週に2回以上の運動習慣)・睡眠(1日平均の睡眠時間が6時間以上8時間未満)・メンタルヘルス(精神的なストレスとうまく付き合うことができる)・食事(BMI8.5以上25未満)・たばこ(たばこを吸わない、もしくはやめた)の5つです。
指標が達成されたかどうかは、健康診断やストレスチェックの結果を通して判断しています。なお、結果はさらなる健康促進に役立つように「オムロン健康白書」として従業員に公表しています。これらの施策により、健康経営によってパフォーマンスやワークエンゲージメントの向上が実現できました。
参考/オムロンHP
成功事例4/トヨタ
トヨタ自動車株式会社は、社員の65%以上外国籍(出身国は40カ国以上)のグローバルな企業です。日本のリーディングカンパニーとして、世界のために動き、幸せを量産することを重視しており、この考え方は健康経営にも反映されています。トヨタ自動車の考え方では、世界中の人々を幸せにするには、仕事に積極的に励むことができる環境が必要です。それには従業員が心身ともに健康を維持できていなければなりません。そのため、トヨタ自動車株式会社では、トップダウンで健康経営に取り組み、健康経営の重要性を説いています。
トヨタ自動車株式会社は、健康宣言の中において「健康第一の会社を目指す」と宣言しています。その取り組みの特徴は、企業と健康組合が一体となっていることです。昼休憩やスキマ時間で受講できる「健康レッスン」の公開や、アプリを使った「肩こり解消チャレンジ」などを実施。健康に関するアンケートを取ることもあります。ときには機関紙や社内メールを通して、従業員にプライベートを楽しむように推奨する、ワーク・ライフ・バランスを意識したメッセージを出すこともあります。
取り組みによって、トヨタ自動車株式会社では、健康に対して無関心な人の割合が減り、体力の向上が見られる従業員が増加しました。また、社内イベントへの参加割合が増加したとのことです。
参考/トヨタ自動車「健康宣言」
成功事例5/楽天
楽天グループ株式会社では、企業のミッションやビジョンなどを表す企業文化「楽天主義」を、社会に広く根付かせることを経営方針の1つとしてきました。楽天グループ株式会社は、それを一歩前進させるために、ウェルビーイングに着目しています。「楽天主義」を深く理解してもらい、個人・組織・社会の3つの層からウェルビーイングを実現するために、ウェルビーイング経営を企業経営の中心に据えました。
この取り組みを進めるために、2019年にCWO(チーフウェルビーイングオフィサー)のポストを新設。創業メンバーの一人を就任させて経営陣に迎えいれました。2020年にはウェルビーイングに関するガイドラインを策定。これによって、楽天グループ株式会社は健康経営優良法人ホワイト500に選定されました。
楽天グループ株式会社におけるウェルビーイング経営のポイントは2点あります。1つ目は、コレクティブ・ウェルビーイングというガイドラインを採用したことです。楽天グループ株式会社では、持続可能なチームづくりには、3つの要素(仲間・時間・空間の三間)の設計と要素同士の間の余白が企業と従業員の双方にとって大切であると結論づけ、ウェルビーイング経営の指針としました。楽天グループ株式会社ではガイドラインに沿った行動がしやすくなるように、判断のための簡易ツールの配布や、適合する施策リストの公開をしています。
2つ目は従業員のコミュニケーションや健康へのアプローチです。コミュニケーションが促進されるように、ランチタイムに雑談ができるカフェを社内に創設。さらにフィットネスジムを整備して、従業員が健康の維持増進に務められるようにしました。なお、在宅勤務をする場合には、ラジオ体操の実施を推奨しています。労働環境改善の施策としては、ニューノーマルな時代に対応するために、在宅勤務の設備支援をしています。これらの取り組みによって、楽天グループ株式会社では、従業員のウェルビーイングの向上に成功しました。
参考/楽天HP
成功事例6/アシックス
スポーツ用品メーカー株式会社アシックスでは「従業員の健康は最も大切な要素」と捉え「健康経営宣言」を発表し、健康経営に取り組んでいます。株式会社アシックスにおける健康経営のポイントは3つです。
1つ目は社員のみならずその家族の健康や幸福の向上に務めること。2つ目は自社開発のプログラムによる健康増進プランの提供。3つ目は運動機会を増やすためのセミナーの実施です。
具体的には、自宅でできる運動プログラムとして、バーチャルレースをトレーニングのレールとした「ASICS Running Program」を提供したり、仕事後にスポーツを楽しめる「アシックスアトリウム」を設営するなどをしています。メンタルヘルス研修や病気療養と仕事の両立ができるように支援制度も作成しました。
また、健康経営を促進させるために、CWOを創設し、人事統括部長との兼任にしています。さらに、関連部門担当者や労働組合などで組織する「ASICS Well-being committee」を立上げています。以上の取り組みによって、健康課題を抱える従業員数の低減や、メンタル休業者数の低下といった成果を実現させました。
参考/アシックスHP
ウェルビーイング経営の取り組み具体例
ウェルビーイング経営でよく行われている取り組みにはどのようなものがあるのでしょうか。以下では、よく行われている取り組みの具体例を紹介します。
柔軟な勤務時間制度
ウェルビーイング経営では柔軟な勤務時間制度がよく用いられます。なぜなら、従業員が自らの都合に合わせて労働時間を配分できる制度は、従業員の仕事とプライベートの時間のバランスが取りやすくなり、ストレスを軽減するのに効果的であるからです。
ストレスの軽減は、結果的に生産性を高める効果にもつながります。具体的には、フレックスタイム制度の導入が一般的です。制度を一歩進めて、コアタイムを設定しないフルフレックスタイム制度を採用する企業も増えています。
リモートワークの導入
勤務地に柔軟性を与える手法も、ウェルビーイング経営ではよく用いられています。勤務地の選択が柔軟になれば、通勤時間を節約ができ、自由な時間が増えます。自由に使える時間が増えれば、それだけプライベートも充実するでしょう。また、満員電車や交通渋滞によるストレスを避けられます。
実際の施策としてはリモートワークの導入がよく見られます。リモートワークを取り入れれば、自由時間の増加やストレス軽減によって従業員の満足度が高まるでしょう。その結果、仕事の効率向上が期待できます。
キャリア開発機会
仕事において成果を挙げられる環境は、従業員の達成感と幸福度に直結します。そのため、キャリア開発の機会を設けることは、ウェルビーイング経営において重要な施策となっています。
キャリア開発機会を提供することは、企業の人材の質を向上させ、業績にもポジティブな影響を与えます。従業員が仕事によりやりがいを感じ、自身の能力を最大限に発揮できるようになれば、職場のモチベーションも向上するでしょう。
具体的な施策として、キャリアコンサルティング、能力開発支援、教育訓練休暇の付与などが挙げられます。これらの施策は、従業員が自己成長に焦点を当て、スキルを磨く機会を提供します。また、社内公募制を導入することで、自らのキャリアを積極的に築く機会を従業員に与えている企業も少なくありません。
メンタルヘルスのサポート
メンタルヘルスのサポートは、ウェルビーイング経営における重要な施策の1つです。具体的には、カウンセリングサービスの提供・ストレスチェック・ストレスマネジメント(ストレス管理)のプログラムの構築などが行われます。
これらの施策は、従業員のストレスや精神的疲労を軽減させます。職場におけるメンタル環境が良くなれば、精神疾患を引き起こすリスクも低減するでしょう。また、仕事のプレッシャーや人間関係の軋轢、あるいはプライベートにおける精神的トラブルへの対処においても効果的です。
社員の趣味や家族との時間を重視
ウェルビーイング経営では、従業員のパートナーや家族との付き合いを良好にし、1人では得られない幸福感を実現することも重視します。
実現には社員の趣味や家族との時間を重視した施策が欠かせません。例えば、従業員が家族と過ごす時間を長くできるように、家族が参加できる社内イベントを開催する場合があります。
また、特別休暇を付与する制度を施行することで、家族と過ごしたり趣味に費やす時間を従業員に与えている企業も多いです。このような施策によって従業員の幸福感が高まれば、職場への満足度も向上するでしょう。
健康経営の取り組み具体例
健康経営の取り組みでは、どのような施策が行われているのか、その具体例を紹介します。
定期的な健康診断の提供
健康経営では心身の健康を中心に施策が行われることが一般的です。その手始めとして「定期的な健康診断」が広く実施されています。健康診断は病気の早期発見と予防に効果的な施策です。また、定期的な健康診断は、健康の維持のための手だてを知るきっかけにもなります。
ただし、健康診断を開催しても、その受診率が低ければ意味がありません。そこで多く企業では、健康診断の提供と同時に、休暇や手当などを付与することで、受診率を高める努力をしています。
運動やフィットネスプログラムの提供
運動は身体的健康の維持と向上に効果的です。運動不足はさまざまな病気を引き起こす原因となります。そこで健康経営では、従業員が気軽に運動できるようにするための施策がよく取り入れられています。
具体的には、社内ジムの設置・社外ジムの優待利用・アプリによる運動プログラムの提供などを実行する企業が多いです。
健康的な食事オプションの提供
健康の維持増進に適切な食事は欠かせません。そのため、健康経営の施策においても、健康的な食事に着目した施策はよく導入されています。
具体的な例では、社内食堂において健康的な食事メニューを作成したり、栄養バランスの取れた食生活をサポートするためのプログラムを提供するなどが挙げられます。健康的な食事は、生活習慣病の予防になるだけでなく、集中力や作業効率の向上にも効果的です。
メンタルヘルスのサポート
健康経営では身体だけでなく精神の健康も重視されます。従業員の精神的な健康を維持することは、ストレスによる生産性の低下や離職を防止し、職場のパフォーマンス向上に寄与するからです。
メンタルヘルスのサポートの導入は精神的な健康維持に効果があるため、健康経営において欠かせない施策となっています。取り組みの具体例としては、ストレスマネジメントの研修や、メンタルヘルスの専門家によるサポートなどが挙げられます。
働き方の改善
休日が少ない状況や長時間の労働が続くと、従業員の心身に深刻な疲労をもたらし、仕事のパフォーマンスが低下するリスクが高まります。その結果、ストレスや過労に悩む従業員が増加し、離職を検討するケースが増えるでしょう。
健康経営では、従業員の心身の健康を保つために、働き方にも配慮しなければなりません。そのため、健康経営に取り組んでいる企業では、残業時間に上限を設ける制度の導入・労働時間の効率的な管理・有給休暇の取得促進制度の整備などが、積極的に行われています。
組織全体で健康的な労働環境が構築できれば、従業員の心理的負担が軽減できるだけでなく、ワーク・ライフ・バランスの向上が期待できます。
まとめ
ウェルビーイング経営と健康経営は異なる経営戦略です。しかし、どちらも従業員と企業の両方に利益をもたらしてくれます。導入すれば人材確保や離職率の悩みの解消が期待できるでしょう。
なお、これらの経営戦略の導入には専門サービスの利用がおすすめです。心幸グループの「オフけん」なら、健康経営をサポートし、効果を感じられる取り組みを提案してくれます。従業員の健康状態がアップすれば定着率の向上も期待でき、おすすめです。
健康経営優良法人2025 認定取得サポートパック
オフィスに健康を届ける「オフけん」では、近年多くの企業が取得している、経済産業省からのお墨付き「健康経営優良法人」の認定取得サポートを行っています。
「毎年の申請が面倒」「何から始めればよいか分からない」「サポート費用が高いのでは」というお悩みをズバリ解決しています。
オフけん「健康経営優良法人認定取得サポートパック」には「健康アプリ」が付いており(アカウント数無制限))、このアプリで厚生労働省の推奨項目を網羅した「ストレスチェック」、厚生労働省が推奨する「健診結果のデータ化」も可能です。
これまで「オフけん」がサポートした企業の「健康経営優良法人」認定率は100%(※2024年度実績)。費用もリーズナブルでコストパフォーマンスが高いので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
元気な会社は社員が元気!健康経営サポート
オフけん(運営:心幸ウェルネス)では、「健康経営優良法人」認定取得サポートを中心に、企業の健康経営をバックアップしています。形だけの健康経営ではなく、従業員の健康と幸福に真剣に向き合う取り組みを提案。真の健康経営を実現しています。「からだ測定会」では、体成分測定・体力測定により従業員一人ひとりのからだ年齢が明らかに!他にも、健康セミナー、禁煙サポートなどのサービスを通して、従業員の健康意識を向上させ、元気な会社づくりに貢献します。
オフけんはこちら