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新入社員の定着率が低い会社の特徴|離職防止のために人事・採用担当者が気を付けるポイント

新入社員の定着率が低い会社の特徴|離職防止のために人事・採用担当者が気を付けるポイント

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更新日|2023年12月21日
所長|いくた
この記事の概要

新入社員が定着しない会社には特定の特徴があります。この記事では、新入社員が早期に離職してしまう会社の共通点を探り、人事・採用担当者が新しい社員の定着を支援し、離職を防ぐために注意すべきポイントを詳しく解説します。社員の早期離職は会社の業績に深刻な影響を及ぼす可能性があるため、この問題を理解し、対策を講じることが非常に重要です。

目次

新入社員の定着率の平均とは

新入社員

厚生労働省が公表している「新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)」によると、就職後3年以内に離職する人の割合は大卒者で32.3%という結果が出ています。高卒者の場合は37.0%とさらに数値が高くなり、全体として新卒新入社員の3人に1人が3年以内に離職していることが分かります。

また、事業所の規模ごとで離職率を見ると大規模事業所になるほど離職率が低い傾向が見受けられます。例えば事業規模30~99人の場合は大卒者で40.6%、高卒者は43.6%です。これに対して1,000人以上の事業所になると大卒者が26.1%、高卒者は26.6%となっています。一概には言えませんが、大企業は資金が潤沢なため労働環境を整えやすいということが離職率低下の一因になっていると考えられるでしょう。

参考/厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)」

新入社員の定着率が低い会社の特徴

男性社員が頭を抱えている

新入社員が職場を働きやすいと感じるか否かは、企業の取り組み次第と言っても過言ではありません。新入社員の定着率が低い企業には一般的に次のような特徴が見られるので、自社に当てはまっていないかチェックしてみてください。

入社前と後のギャップが大きい

基本的に、求職者は数ある企業の中から「ここで働きたい」と思えたところに応募します。したがって入社前に思い描いていた理想像と現場の実情に大きなギャップがあると、労働のモチベーションが削がれて早期離職に繋がるリスクが高いです。

例えば「業務内容が事前の告知と異なる」「配属先の希望が通らない」といった場合に離職率が高くなる傾向があります。さらには給与・賞与・福利厚生といった待遇面についても、労使の間で認識の齟齬が生まれていると新入社員が失望しやすいので注意が必要です。自社から求職者へ情報発信する際は、過度な設定を設けずに正確な情報を伝えることを心がけてください。

職場の雰囲気が悪い

数値化が難しいポイントですが、職場の雰囲気も新入社員にとって居心地を大きく左右する要素となります。例えば職場内の人間関係・ハラスメントの有無・上司と部下のコミュニケーション量などが分かりやすい指標です。

求職者にとって職場の雰囲気は入社してみるまで実態が分からず、内定が出た後でも不安に感じている人は少なくありません。いざ入社した現場の雰囲気が悪いと安心して働くことができず、日常的にストレスが溜まって仕事のモチベーションが下がってしまうでしょう。職場の雰囲気は一朝一夕で変わるものではないため、普段からの意識付けや取り組みが大切です。

残業が常態化している

ワークスタイルの多様化や働き方改革の推進によって、仕事とプライベートの両立を重視する人は増加傾向にあります。そのため、長時間労働や残業が常態化している企業は新入社員の離職率が高くなりがちです。

従業員のワークライフバランスが膨大な残業によって妨げられれば、プライベートの時間が確保できずに疲れやストレスをリフレッシュできなくなります。

仕事のモチベーションやパフォーマンスが低下するだけに留まらず、心身の健康問題へ発展する可能性も高いのでデリケートな問題であると言えるでしょう。残業や長時間労働の常態化は従業員を大切に扱っていないと見なされ、新入社員はもちろん既存社員からの不満も高まります。

業界や会社の将来性への不安

新入社員にとって入社先はキャリアの出発点であり、良好なスタートダッシュを切るための重要なポイントです。しかし会社や業界の将来性について不安要素が大きいと、自分の希望を叶えられないことへの失望感から離職率が高まります。

この問題は求職者側での企業研究・業界研究に起因するケースもありますが、企業側で取り組めることがない訳ではありません。新入社員を雇う企業としては、キャリアの安定性や成長機会を確保することが大切です。

組織全体で将来の明確なビジョンを共有し、商材や市場の不安定性への対策もしっかり準備しておきましょう。

教育体制と評価制度が整備されていない

新入社員がどれほど優秀な人材であっても、企業側で働きぶりを適正に評価する仕組みやスキルアップのサポート体制が整ってなければ長続きしません。

評価制度で言うと日ごろの業務に対する定期的なフィードバック、給与やボーナスの査定基準、昇進の条件などが挙げられるでしょう。業務内容や成果に対して、従業員が納得できる公平な内容を提示することが大切です。

スキルアップのサポートで言えば資格の取得支援や、研修・トレーニング制度の充実などがよく知られています。必要であれば外部機関のサービスを利用するのもおすすめですよ。

新入社員の離職が及ぼす影響

デメリット

新入社員の早期離職が多いと、企業にとっては以下のような影響が懸念されます。

採用コスト・教育コストが無駄になる

企業が新入社員を1人雇うには多額のコストと労力が必要です。苦労して採用した人材が早々に離職してしまえば、採用・トレーニング・オンボーディングなどにかけたコストが無駄になってしまいます。

企業の採用コストが算出されている「就職白書2020(就職みらい研究所)」によると、2019年度の新卒者1人あたりにかかった採用コストは93万6,000円です。さらに民間シンクタンクの産労総合研究所が公表した「2022年度教育研修費用の実態調査」では、2021年度に企業が支出した従業員1人あたりの教育研修費用平均額は29,904円となっています。つまり新卒者1人を採用して教育するには最低でも約100万円、それに加えて自社従業員による教育を行うための労力や人件費がかかるのです。

企業としては新入社員に投資したコストを回収できなければ大きな損失となるだけでなく、離職者の補充を行うことでまた新たなにコストが発生してしまいます。限られた資金でやりくりする中小企業やスタートアップにとっては、こうしたコストの重複が特に大きな負担になるでしょう。

参考/「就職白書2020(就職みらい研究所)」
参考/「2022年度教育研修費用の実態調査」

生産性が低下する

新入社員の早期離職は、社内の労働生産性を短期的に低下させる可能性があるので注意が必要です。新入社員が離職する場合は、チームに代わりの人員を補充する必要性が出てきます。新規メンバーが業務内容を引継いで作業に慣れるまでは、相応の時間を要するでしょう。これだけでも一時的な作業効率の低下に繋がりますが、頻繁にチームメンバーや人員配置の入れ替えが行われると中堅・ベテラン社員のモチベーションにも影響する可能性があります。企業エンゲージメントや業務パフォーマンスの低下など、新入社員の離職に端を発した負の連鎖は社内全体に及びかねないのです。特に商品開発やIT関連などチームワークが重視される職場環境においては顕著に影響が表れます。

企業のブランドと評判に影響が出る

高い離職率は社内だけでなく、対外的な自社ブランドのイメージ低下にも繋がる可能性があります。離職率は特に業界内外の求職者や顧客が敏感にチェックしており、数字が高いと組織運営力・人材管理能力・職場環境へのネガティブイメージを与えてしまうのです。

ブランドイメージに傷が付くと採用活動がスムーズにいかなくなるのはもちろんのこと、場合によってはビジネスチャンスの機会損失や顧客関係への悪影響も懸念されています。企業文化の構築やブランドイメージ・評判の定着は、長期的な取り組みによって積み重ねていくものです。早期離職が頻繁に発生すると、それまでの企業努力が水の泡に帰してしまいます。

新入社員の離職の原因とは

ハテナマーク

新入社員は入社して右も左も分からない状態から、仕事や職場に馴染んでいくことになります。きっかけは些細なことであっても、様々な原因から早期離職に至るケースがあるのでキメ細かいケアが重要です。新入社員が早期離職してしまう原因としては、次のようなものが挙げられます。

仕事のミスマッチ

仕事に対して意欲的な新入社員にとって特にモチベーションが下がる原因となるのが、仕事のミスマッチです。

通常、求職者は自己分析と業界研究・企業研究によって自分に合った仕事を選んで求人に応募しています。期待を胸に入社した企業で任された仕事がイメージと大きく異なれば、仕事に満足感を得られない新入社員のモチベーションは急速に失われていくでしょう。

例えばIT系の職種ではエンジニアが専門分野の隣接領域まで業務を担当するというケースは珍しくありません。同じ職種名でも企業によって社内での役割が異なることも多いです。企業としては求人広告・会社説明会・面接といった採用プロセスにおいて、不正確な情報発信や仕事の実態が誤解されるような説明を避けることが肝要になります。

人間関係がよくなかった

新入社員に限ったことではなく、離職の理由として例年上位にランクインしているのが人間関係の問題です。

どれだけ仕事にやりがいがあって待遇が良くても、職場の人間関係がギクシャクしているようでは従業員が職場満足度を感じられません。職場では上司・先輩・同僚など様々な関係性の人間と関わり合いながら仕事に取り組むのが一般的です。既存社員同士の関係性が悪くても、新入社員にとっては居心地の悪い環境になってしまいます。

さらに新入社員は周囲との関係性構築が進んでいないため孤立しやすいという側面もあるので、先輩社員や人事担当者からのフォローが大切です。いじめやハラスメントの実態がある現場では特に離職率が高まります。何かあった時に頼れる人間関係の構築や相談窓口の設置など、従業員の心理ケアにも努めてください。

労働時間や休日・休暇の条件がよくなかった

先に述べた通り、現代社会ではワークライフバランスを重視する人が増えています。

したがって会社の労働時間・休日・休暇制度の条件が悪いと、早いうちから見切りを付けて離職するというケースは珍しくありません。新入社員は「仕事を早く覚えるため」「会社に慣れるため」といった理由から、長時間労働や休日出勤を強いられやすいポジションです。

また、制度上は有給休暇が整備されていたとしても取得率が低ければ意味はありません。過度な労働は離職に直結すると言っても過言ではないので、人事担当者は就業時間をしっかり管理することが求められます。

給与への不満

仕事で得た収入は従業員の生活水準に直結する要素であり、健康的な心身を維持してもらうためにも十分な報酬を用意することが大切です。

また、自分の頑張りが金額という分かりやすい数字に表れるのでモチベーション維持にも一役買っています。新卒者の場合は初めての職場になるためキャリアやスキルによる待遇アップが見込みにくく、給与に対する不満が離職理由になりやすいので注意しておきたいところです。社内の給与体系はバランス感覚が重要になるため、関係各所の意見を取り入れながら慎重に調整しましょう。

ノルマや責任への重圧

業態や職種によっては、仕事上のノルマや責任が新入社員にとって大きな負担になることもあります。

適度なノルマは業績維持や従業員の競争力向上に有用ですが、仕事に慣れるのに手一杯な新入社員へも同等のノルマや責任を課すと追い詰めてしまうことになり兼ねません。やるべきことだらけの職場環境は新入社員にとってネガティブに感じられ、早期離職のリスクを高めてしまうのです。新入社員への仕事配分はキャパシティを十分に考慮した上で、多少の余裕を持たせてあげるよう心がけてください。

自分のスキルが活かせなかった

仕事に対するやりがいや喜びは人それぞれですが、自分のスキルや能力が役に立った時に満足感を得る人は多いでしょう。

特に新入社員の場合はこうした自己肯定感の向上や成功体験が今後の成長を大きく左右します。逆に言えばスキルや能力を活かせず持ち腐れになってしまう職場は、新入社員にとってやりがいがなく早期離職の原因になると言えるでしょう。

スキルや能力が活かせないということは自分の成長が見込めない、つまりキャリアの将来性が低いということも意味しています。新入社員を含め、従業員が自分の長所を発揮しながら成長し続けられる環境作りは企業の使命なのです。

新入社員の定着率向上によるメリット

メリット

新入社員の定着率が向上すると会社にとって様々なメリットが期待できるので、ここではその恩恵について詳しく述べていきます。

採用や教育にかかるコストを削減できる

新入社員の定着率が向上すると採用活動を最低限に留められるようになるため、結果として採用コストの削減に繋がります。

ここには広告費や人件費といった金銭的コストだけでなく、人事部や面接官など採用活動に携わる人間の労働力も含まれるというのがポイントです。また、採用活動が最小限に抑えられるということは、新人教育にかかるオリエンテーションやトレーニングなどのコスト削減にも効果があることを意味しています。

定着した社員は業務ノウハウを蓄えていくため繰り返し教育を行う必要がなく、教育資源はスキルアップや資格取得などに有効活用できるようになるでしょう。採用・教育コストは中々表面化しない費用ですが、1人あたり100万円以上かかっていると考えるとその大きさが実感できますよね。

社員のモチベーションが高まる

新入社員が定着するようになると、当人だけでなく職場全体のモチベーション向上にも効果が期待できるので覚えておきましょう。

長く働いていくと従業員には会社への帰属意識が芽生え、職場の居心地が良くなります。「この職場で活躍したい」という自己実現意識の高まりは能動的なスキルアップを促し、個々人がこのような状況になれば結果として職場全体の士気向上に繋がっていくでしょう。

活気に満ちた職場は次の求職者へのアピール材料にもなるため好循環が生まれます。定着した従業員から所属企業への高いロイヤリティは、周囲にも良い影響として伝播していくのです。

企業の組織力が向上する

従業員が長期間にわたって1つの企業で働くと、職場の従業員間で信頼関係が構築されてチームワークの強化が進みます。

部署やチーム単位での協働能力向上は企業にとって大きな武器となり、ビジネスシーンの様々な場面でその効果を実感できるようになるでしょう。組織力が高まってコミュニケーションが円滑になると、社内の情報共有や問題解決といった基礎的なビジネス力の底上げにも繋がるのです。

また、勤続年数が長く豊富な経験値を蓄えた従業員が多いと、組織全体としての意思決定や危機管理能力の質が改善します。組織力向上は中長期的な視点で取り組む施策ですが、従業員の定着率はその中でも大きな意味を持つ要素です。

スキルやノウハウの伝承ができ生産性が上がる

業務ノウハウやスキルの教育は企業側でも体制を整えることが重要ですが、そのすべてを研修やマニュアルで賄うことは難しいです。実際の現場で働いている先輩社員や上司から新入社員へ後進指導が行われることで、標準化することが難しい細かいノウハウや意識付けが可能になります。

新入社員が定着してベテラン社員として成長すれば、組織内で共有されるスキル・知識の量や質が向上していくでしょう。組織全体で細かいノウハウが共有されれば、エラーや作業のやり直し削減にも効果が期待できます。現場で培われたノウハウは作業効率や業務品質向上に有用なものが多く、各従業員が専門性を高めることにも一役買ってくれるのです。専門的なノウハウを持った人材は、他社との差別化や競争力強化に重要な要素となります。

将来の幹部候補が育成できる

企業の将来を考えた時、避けては通れないのが世代の入れ替わりです。現職の幹部がどれほど優秀であったとしても、定年を迎えれば退職していくことになります。仮に比較的若い世代が幹部を担っているとしても、転職などの理由で退社する可能性は0ではありません。

安定した経営を実現するためには、常に幹部候補の育成を考えておくことが大切です。自社に定着した従業員は企業理念や文化を深く理解しているため、将来のリーダー職および幹部候補として理想的な素養を備えています。人を束ねて率いていく人材は、ただ仕事ができれば良いという訳ではありません。自社が持つビジョンや目標へ強くコミットした上で、その達成に向けて能動的にアクションを起こす行動力や意欲が求められるのです。

採用・人事担当者必見!新入社員の定着率を上げる8つのポイント・方法

まるマークの女性社員

新入社員の定着率を上げるためには、幅広い視野で自社の現状を把握して適切な施策を講じることが求められます。以下では採用時・入社後でそれぞれ4つ、計8つのポイントを紹介するので参考にしてみてください。

1.採用時/適切な人材を見極める

採用段階でまず大切なのは、自社と応募者の「相性」です。優秀なスキルや豊富な知識を持つ人材であったとしても、自社が求める人物像にマッチしていなければ早期離職のリスクは高まります。

採用時には応募者が持つスキルやこれまでの経験だけでなく、自社の文化や職場の雰囲気に馴染めそうかどうかも重点的にチェックしてみてください。

自社と応募者の間でキャリア設計・価値観が一致しているとベストです。自社で長く働いているベテラン社員の特徴を分析して、採用基準に取り入れるのも良いでしょう。

2.採用時/リアルな職場環境の紹介

応募者が抱くイメージと自社の実情にミスマッチを起こさないためには、採用プロセスの段階からできるだけリアルな職場環境を紹介していくことが重要です。

労働時間・給与・休暇制度・福利厚生といった基本的な労働条件に関しては、求人ページや会社説明会で正確な情報提供を心がけてください。自社で働くイメージを具体的に思い描いてもらうためには、ホームページ上で写真や動画を使った紹介コンテンツを充実させるのもおすすめです。

学生に実際の現場を体験してもらうインターンシップを導入するというのも1つの選択肢と言えます。入社前後のギャップを防止するためには、多角的な視点から工夫を凝らしましょう。

3.採用時/採用プロセスの透明性

求職者は採用試験を受けている段階から企業に対する印象を抱きます。採用試験では企業が応募者の適性を見極めるだけでなく、応募者側もまた企業をチェックしているのです。

安心して自社で働いてもらうためには、採用プロセスの段階から透明性を高めて公平な試験を実施することが求められます。

例えば選考基準の明確化や改善点に対する迅速なフィードバックなど、企業として真摯な姿を求職者に提示しましょう。採用プロセスの時点から好印象を与えられれば、「この会社で長く働きたい」と思ってもらいやすくなりますよ。

4.採用時/キャリア成長の展望を提示

ミスマッチやギャップの防止策を講じたら、自社が応募者へ提供できる「成長の展望」を提示しましょう。

企業の成長には従業員の力が必要になりますが、従業員自身の成長にとってもまた企業のサポートが重要になります。そのため、自社が従業員のためにどのようなキャリアパスを用意し、どれくらいの成長機会を提供できるのかを明確かつ具体的に伝えておくことが重要です。

応募者に「ここなら自分を成長させられる」と感じてもらえれば、長期的な視点で企業へのコミットメントを持つことに繋がります。「企業の成長」と「従業員の成長」は、お互いにwin-winの関係なのです。

5.入社後/充実したオリエンテーションプログラム

オリエンテーションは新入社員が入社後に初めて参加する本格的なプログラムです。したがって、オリエンテーションの内容を充実させることは新入社員の不安要素を取り除いてこれから安心して働いてもらうために必要な取り組みと言えます。

仕事内容のような実務的なことだけでなく、企業文化についての説明を含めた包括的なオリエンテーションを実施しましょう。具体的な内容としては「会社のビジョンやポリシー」「業務手順」「社内規則」「基本的なビジネスマナー」などが挙げられます。オリエンテーションにもOJT・OFFJT・ゲーム形式・内定者懇親会など様々な形式があるので、必要に応じて適したスタイルを採用しましょう。

6.入社後/メンターシステムの導入

新入社員が仕事において抱える大きな不安の1つが「相談相手が居ない」という状況です。1から人間関係を構築していく新入社員にとっては、誰を頼れば良いのか分からないという場面も少なくありません。

分からないことをすぐに相談してもらうためには、経験豊かな先輩社員を担当者として割り当てるメンター制度が有効です。メンターは新入社員の職場適応をサポートするのが役目であり、業務上の質問だけでなくキャリア形成についての相談も受け付けます。

したがって、メンターに指名する先輩社員には仕事のノウハウだけでなく指導力も求められるので留意しておきましょう。

7.入社後/定期的なフィードバックとサポート

新入社員の定着を促す上で大切なのは「放ったらかしにしない」ということです。いくらメンターが質問や相談に乗っているからといって、組織的なサポートや評価がなければ新入社員の効率的な成長は望めません。

仕事における成果の評価やパフォーマンスレビューは定期的に行い、「ちゃんと面倒を見てもらえているんだ」という安心感を提供しましょう。問題や懸念点があれば迅速にサポートを行い、間違った知識やノウハウを持ったまま成長しないようにすることも重要です。

8.入社後/社内コミュニティとの結びつき強化

新入社員にとって居心地の良い職場は「心理的ハードルが低い」ということが1つの条件と言えるでしょう。周りの先輩や上司と打ち解けていない状況が長く続くほど、新入社員はストレスを溜め込みやすくなります。

社内コミュニティへ馴染んでもらうためには、社内のレクイベントやチームビルディング活動で他の社員と接点を作る機会を増やしてあげるのが良いでしょう。場合によっては懇親会や新人歓迎会のように、比較的カジュアルなイベントも有効です。

できるだけ積極的に参加してほしいところですが、無理強いは禁物なので強制参加にはしないようにしておきましょう。職場での人間関係は定着率に直結すると言っても過言ではないので、柔軟な考え方で色々な施策を試してみてください。

新卒の定着率を向上させた成功事例

笑っている従業員たち

新入社員の定着率向上は多くの企業で取り組まれている施策であり、既に多くの成功事例も確認されています。ここからは比較的有名なものを厳選して4つ見ておきましょう。

サイボウズ

気鋭のソフトウェア開発会社として成長し続けるサイボウズ社では「100人いたら100通りの働き方」という考え方を打ち出して、抜本的な働き方改革を実施しました。

同社では「最長6年間の育児・介護休暇」「他部署への体験入部」「子連れ出勤制度」など多角的な施策によって、2005年に28%だった離職率を3%~5%程度まで引き下げることに成功しています。数多くの取り組みの中でも、「働き方宣言制度」は個々人が事情に合わせて出勤時間や勤務地を選べるという斬新なものです。

島津製作所

分析・計測機器の大手として有名な島津製作所は、従業員の健康ケアとコミュニケーション活性化で離職率低下に成功したことでも知られています。

週に3日間のノー残業デーとすることで長時間労働の是正に取り組み、従業員のワークライフバランス調整にも努めました。その結果、同社では2017年に入社した98人の新入社員全員が2020年時点でも在籍していたのです。

三井不動産

業界大手として長年君臨し続けている三井不動産では、従業員のスキルアップを積極的に支援することで低い離職率を実現しています。

資格取得や語学習得などのサポートはもちろんのこと、若手総合職員は全員が海外語学研修に参加可能となっているのです。若手でもアイディアを提案する機会が豊富に設けられており、こうしたオープンな企業風土も相まって将来有望なビジネスマンが日々自己研鑽に励んでいます。

三菱地所

不動産業界では三菱地所も新入社員定着率の高い企業として注目されています。同社はデジタルやグローバルなど現代ビジネスのトレンドに素早く対応していることが特徴であり、それに伴って多様な価値観を持った人材育成にも積極的です。

就業時間の10%を業務外の取り組みに使えるチャレンジ制度をはじめ、社員が主体的に事業のアイディアを生み出せる環境が整っています。その一方で年間総労働時間は平均より低い水準を維持するなど、従業員を大切にする姿勢も忘れていません。

まとめ

新入社員の定着はコスト削減や組織全体の生産性アップなど、企業に様々なメリットをもたらしてくれます。スキルアップ支援やキャリアサポートなど定着率アップに有効な施策は多岐におよびますが、資本となる心身の健康を維持する取り組みも重要です。

健康経営に長けた「オフけん」による健康サポートサービスも定着率向上に有効なので、こうした外部サービスの導入も積極的に検討してみてください。

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