社員のモチベーションが低い要因|向上させる6事例と20施策
社員の仕事におけるモチベーションとは、その業務に対する意欲や情熱、やる気です。モチベーションが高ければ、自身の仕事に喜びや興味、誇りをもって積極的に臨むため、チャレンジ精神や創造性を発揮して生産性の向上にもつながります。では、社員のモチベーションはどのようにして向上させるのでしょうか。こちらでは、モチベーションが低い原因や改善策、成功事例などをご紹介していきます。
目次
社員のモチベーションが低い要因
社員のモチベーションをあげるためには、逆にモチベーションが低下する原因を知っておかなければなりません。以下で、社員のモチベーションが低下してしまう、よくある要因を見ていきましょう。
役割や仕事の不明確さ
日常業務において、社員が自分の役割や最終的な目標をきちんと理解していない場合、自分の業務が単調で機械的な作業にしか感じられず、達成感ややりがいを見失ってモチベーションが低下しがちです。
そして、どのような目的で今の業務を行っているのか、どんな成果が期待されているのかが明確でない状態が続くと、会社への忠誠心や仕事に対する意欲が減退しやすくなるでしょう。
認識や報酬の欠如
福利厚生や給与が充実していない会社では、実際はどうであれ、社員は自分の会社に対する貢献や成果が充分に評価されていないと判断してしまいます。
適切なフィードバックやきちんとした報酬体制が欠如した状態では、会社に必要とされていない、正当な評価が受けられないという認識を抱き、モチベーションが低下しやすくなるでしょう。その結果、会社や仕事に対する愛着が薄れ、転職を検討する社員が増え、離職率が増加する恐れもあります。
コミュニケーションの不足
会社の待遇が優れていても、人間関係が原因でモチベーションが下がることもあります。上司や同僚とコミュニケーションが不足している場合、仕事に関する相談や悩みを打ち明けられずに孤立感が強まりやすくなるでしょう。
また、情報の共有やフィードバックが不足することで、問題の解決や斬新な提案が難しくなります。その結果、精神的に安らげない職場で仕事が思うように進まず、組織に貢献しようとする気持ちや意欲が薄れていきます。
ストレスや過労
肉体的・精神的な負担が大きくなることも、社員のモチベーション低下の要因になります。残業や休日出勤など、長時間の労働が続くと肉体的な疲労がたまりやすく、やる気がでてきません。
また、ワークライフバランスが悪くなることでリフレッシュしづらくなり、過度のストレスが溜まって集中力が不足していきます。その結果、肉体的な負担の割に作業効率が悪化して、望んでいるような成果が出せずにストレスが溜まるという悪循環になってしまうのです。
スキルや成長の不足
社員自身が目標をもって仕事に臨んでいる場合、職場環境に恵まれていればスキルアップやキャリアアップに意欲的に挑戦し、モチベーションも高い状態を維持することが可能です。しかし、社員自身が目的意識を持っていても、今の職場で成長の機会が得られない場合には、モチベーションが低下することがあります。
社内のキャリアパスがはっきりしていない、ロールモデルとなる社員がいないなど、具体的なスキルアップの機会が見いだせない職場では、将来に不安を感じて転職を検討することにもなりかねません。
社員のモチベーションが低いとどうなる?
何の対策も講じなければ、様々な原因から社員のモチベーションが低くなりかねません。ここでは、社員のモチベーションが低いと企業にどのような影響を与えるのか見ていきましょう。
生産性の低下
モチベーションは仕事に対する意欲や情熱、集中力に直結するものです。そのため、社員のモチベーションが下がると本来持っているパフォーマンスを十分発揮できなくなり、業務の遂行に普段より多くの時間がかかったり、ミスが増えたりしがちです。
その結果、同じ人員、同じ時間をかけても通常より生産性が低下する可能性があります。一般的に、やる気のある社員に比べて、モチベーションが低下した社員の生産性は3割以下とされています。
品質や精度の低下
モチベーションが下がると、社員の仕事に対する関心や責任感も低下します。そのため、より良い結果を出そうと丁寧に業務を進めるのではなく、ノルマを果たすことに注力するようになり、細かいミスや手抜きが多発する可能性があります。
その結果、業務の品質や精度が低下し、顧客満足度や自社のブランド力の低下、信頼性の減少を引き起こしかねません。
チームワークの悪化
モチベーションが低い社員の存在は、周囲へも悪影響を及ぼします。やる気のない社員の業務まで周囲に割り振られるので、仕事が思うように進まなくなりますし、互いに協力しようという気持ちや積極的なコミュニケーションの機会が失われてしまうためです。
その結果、チーム全体の連携が困難になり、周囲の社員までストレスをため込んでモチベーションが下がってしまいます。こうなると、職場の雰囲気が悪くなり、仕事や会社への愛着も失われていくでしょう。
離職率の増加や定着率の低下
モチベーションが低い社員は、仕事への達成感ややりがいを感じにくくなります。また、仕事への興味や企業への忠誠心なども失っているため、今の職場に魅力を感じられず、離職や転職という選択をする可能性が高くなりがちです。
離職率の増加や定着率の低下が進めば、人材の獲得や育成にかかる費用が膨大になりますし、新たな労働力の確保に難航し、業務が上手く回らなくなる恐れもあります。
社員のモチベーションを向上させる必要性
社員のモチベーションが低いままでは、企業にも多くの悪影響が生じます。逆に、企業がモチベーション向上の施策を行った場合はどのようなメリットが期待できるのかを見ていきましょう。
生産性の向上
社員のモチベーションが向上すると、やる気がアップして仕事に対しても積極的に取り組むようになります。意欲や情熱が増すと集中力の高い状態が続いても疲れにくくなり、効率的な業務の遂行を実現でき生産性も向上します。
また、職場の雰囲気が明るく、社員同士のコミュニケーションも活発になるため、情報共有や新しいアイデアの提供がスムーズになり、より効果的、効率的な業務遂行ができるようになるでしょう。
仕事のクオリティ向上
モチベーションが高い社員は、仕事に対して関心や強い責任感を持っていますので、主体的に仕事に取り組んで、高品質な商品やサービスを提供できるようになります。
ミスや手抜きが減少し、質の高い成果物を安定して供給できるようになることで、企業の顧客満足度や組織に対する信頼性を高めることも可能です。
チームワークの促進
モチベーションの高さは、仕事だけでなくコミュニケーションにも大きな影響を与えます。チームや組織内で積極的に協力や情報交換をするようになるため、相互の信頼関係が築かれて士気や団結力が高まります。
素晴らしい連携で互いを助け合って作業を行うため、高いパフォーマンスが発揮できるようになるでしょう。
社員の満足度と定着率の向上
モチベーションが向上すると、社員の疲労やストレスが軽減されて、仕事に対して楽しさや満足感、やりがいを感じやすくなります。
そして、仕事に対して満足度が高まることで、所属している組織や企業に対しても好意的な感情を抱きますので、長期にわたって仕事を続け、貢献したいと感じる社員が増えるでしょう。社員の帰属意識が高まることにより、定着率の向上が期待できます。
組織のイノベーションと成長の促進
モチベーションの高い社員は、集中力の高さや多くの社員との情報共有により、クリエイティブで革新的なアイデアを生み出しやすいです。
多くの社員が斬新なアイデアを提案し、企業が積極的にそれらを取り入れていくことで、新しい技術や知識を得られるでしょう。その結果、組織のイノベーションと成長の促進が期待できます。
社員のモチベーションを上げる事例6選
他企業では、社員のモチベーションをあげるためにどのような取り組みを行っているのでしょうか。以下では、実際に行われている施策事例を紹介していきます。
ユナイテッドアローズ
衣類や小物を販売しているユナイテッドアローズでは、社員が主体的にキャリアアップを目指せるように、キャリア開発に重点を置いた取り組みを行っています。
具体的には、人材が不足した時に各部署が社員の中から幅広く異動希望者を募る社内公募制度を取り入れ、社員自身が望むキャリアを得られるチャンスを広げています。また、異動の際に社員に異動先を指定するのではなく、社員が配属部署の希望を出すことができるキャリア自己申告制度を活用する社員も多いです。
サイバーエージェント
メディア関係やインターネット広告などの事業を手掛けるサイバーエージェントは、ユニークな福利厚生が多いことでもよく知られている企業です。
その中の一つである「リフレッシュ休暇 休んでファイブ」は、入社3年目以上になると毎年5日間の特別休暇が取れる制度です。特段の事情がなくても気兼ねなく休むことができ、達成条件もそれほど難しくないことから、社員のモチベーション維持につながっています。
面白法人カヤック
全社員が人事部に所属して働きやすい環境を作り出している面白法人カヤックは、他社では見られないユニークで特徴的な福利厚生や行事を提案しています。
例えば、半年に1回社員同士で相互投票を行い、ランキングに比例して月給の昇給額を決める「ぜんいんで報酬を決定」や、短時間に集中して仕事をしたい人が自分で勤務時間を決められる「ウルトラマン型勤務制度」など、楽しく働ける環境づくりを社員全体で行い、モチベーション向上に良い影響を与えています。
クックパッド
大手レシピサイトのクックパッドでは、希望する異動先を社員に選ばせる施策を取り入れています。人員を補充する際に、社外からの求人募集だけでなく社内公募も行い、募集している部門の責任者が選考をした上で、人事部が異動の可否を判断するというシステムです。
社内公募では上司の許可や承認は不要で、直接人事部に申し込むので公募に申し込んだ事実も公表されません。異動に際して妨害されることもなく、万が一異動できなかった場合でも周囲と揉める心配もないため、安心して申し込めます。不採用になった場合は理由を本人に伝え、スキル不足ならば研修が受けられるなど、アフターフォローも手厚い制度です。
資生堂
化粧品メーカーの資生堂では、女性社員が多いことから子育て中の美容部員への対策を充実させています。夕方から閉店までの2~3時間は、子育て中の美容部員にとって子供のお迎えや食事の準備など、重要性の高い時間帯です。
そこで、1万人を超える美容部員の業務を夕方には肩代わりできるように、会社の施策として多くのアルバイトのスタッフを用意して事前研修を行う「カンガルースタッフ制度」を取り入れています。アルバイトの育成や確保にコストはかかりますが、結果的に販売力が高い人材の流出を防ぐことにつながりました。
サイボウズ
グループウェア開発を行うサイボウズでは、日常業務に手を取られてスキルアップやキャリアアップができない社員に機会を与えるため、「育自分休暇」を設けています。これは、転職や留学など自らの成長を目指す35歳以下の社員に対し、最長6年間の職場復帰を保証する制度です。
これだけの期間があれば、大学や大学院の卒業、転職によるキャリアアップなど将来的に自分にとって大きなステップアップとなる挑戦ができます。結果的に、他の施策の効果も含めて離職率の大幅な低下につながりました。
社員のモチベーションを上げるポイント
モチベーションの向上に関しては多くの研究がなされており、これらを参考に施策を行うのがおすすめです。ここからは、社員のモチベーションを上げるポイントについて見ていきましょう。
マズロー5段階欲求の低次欲求から満たす
世界的に知られているモチベーション理論の一つである「マズローの欲求5段階説」では、人が持つ5つの欲求をピラミッド型に構成しています。最下層が生命の維持を求める生理的欲求、その上が安心を求める安全欲求、さらに集団への帰属意識や他者との関りを求める社会的欲求、人から認められたいという承認欲求、能力や創造的活動を求める自己実現欲求と続きます。
そして、人は下から徐々に上へと欲求のレベルを上げていくため、低層から対策を取るのが効率的です。一般的に、社員は生理的欲求と安全欲求が満たされていますので、積極的にコミュニケーションをとる社会的欲求の実現、役職や役割を与える承認欲求の達成を経て、自己実現欲求の実現を目指すことになります。
外発的・内発的に分けて対策を立てる
モチベーションは、外発的動機付けと内発的動機付けの2つに大別されます。外発的動機付けは昇給や昇進と言った外部からの影響や刺激を受けて高まるモチベーションで、即効性はありますがコストがかかり、短期的な効果しか期待できません。
内発的動機付けは本人の興味や関心、探求心などによって高まるモチベーションで、高まるまでに時間はかかりますが、長期的な効果が期待できます。
ビジネスにおいてはいずれも必要ですので、それぞれに分けて対策を立てるようにしましょう。例えば、評価が分かりやすい給与体系や賞罰を設定すると外発的動機付けを高められます。一方、内発的動機付けは小さい成功体験を積み重ねたり、研修や他部署への異動など、様々な物事に取り組む機会を与えたりした上で、適切なフィードバックを行う必要があります。
社員のモチベーション向上の施策20選
仕事へのモチベーションを向上させるために、「人事にできること」「マネージャーにできること」「社員自身にできること」に分けて施策を紹介していきます。
人事にできること
社員のモチベーション向上のために、人事部門が実施できる施策は以下のとおりです。定期的な評価や改善を行いながら、より良い職場環境を整えていくことが大切です。
目標設定とフィードバックの提供
社員と定期的に目標を設定し、進捗状況を確認しましょう。また、成果に対して適切なフィードバックを提供することで、社員が自身の成長を実感できます。
キャリア開発の支援
社員のキャリアパスを明確にし、適切なトレーニングや研修プログラムを提供しましょう。成長の機会やキャリアの選択肢を与えることで、モチベーションを高めることができます。
ワークライフバランスの促進
長時間労働や仕事とプライベートの調和が困難な状況は、モチベーション低下の要因となります。柔軟な働き方や休暇制度の充実など、社員が仕事と生活を調和させるための環境整備を行いましょう。
報酬と評価制度の改善
公正かつ透明な報酬制度や評価制度を確立し、社員の貢献度や成果に応じて適切な報酬と評価を行います。報酬や評価が公平であることは、モチベーション向上につながります。
社内コミュニケーションの活性化
社内のコミュニケーションを促進するための取り組みを行いましょう。定期的な会議や情報共有の場を設けることで、社員同士の連携や情報の共有がスムーズになり、モチベーション向上に寄与します。
個別のニーズに応じた支援
社員一人ひとりの個別のニーズや要望に目を向け、それに応じたサポートを提供しましょう。柔軟な勤務時間の調整や福利厚生の充実など、個人のワークスタイルに合わせた配慮がモチベーション向上につながります。
マネージャーにできること
マネージャーが社員のモチベーション向上に貢献するためには、以下のような施策を実施することが重要です。定期的なチームミーティングや個別面談を通じて、社員とのコミュニケーションを深め、成長と満足度を支援しましょう。
目標設定と透明なコミュニケーション
社員と共に目標を設定し、進捗状況や期待する成果を明確に伝えましょう。定期的なフィードバックや評価を通じて、社員が自身の成長や貢献度を把握できるようにします。
また、個別の社員のニーズや要望にも目を向け、適切な対応を行うことが重要です。
成果の認識と報酬
社員の成果や努力を公正かつ適切に評価し、それに見合った報酬やインセンティブを提供します。成果が認められることはモチベーション向上につながります。
スキルの育成とキャリア支援
社員のスキル向上やキャリアパスの具体的なプランニングをサポートしましょう。適切なトレーニングや挑戦的なプロジェクトへの参加を提案し、成長の機会を提供します。
フィードバックと挑戦の文化の醸成
定期的なフィードバックを通じて社員の成長を促進しましょう。また、新しいアイデアや取り組みへの挑戦を奨励し、失敗を恐れずに学ぶ文化を醸成します。
ワークライフバランスのサポート
長時間労働や過度の負荷はモチベーション低下の要因となります。社員のワークライフバランスを考慮し、フレキシブルな労働時間や休暇の充実など、働きやすい環境を整えましょう。
チームビルディングと社内イベント
チームメンバーの結束力や協力関係を強化するために、チームビルディングの活動や社内イベントを計画しましょう。社員同士の交流や連帯感を醸成することで、モチベーションを高めることができます。
リーダーシップとエンゲージメント
自身の行動や態度で、チームメンバーに対して明確なビジョンや目標を示しましょう。チームの目標に対するエンゲージメントを高めるために、コミュニケーションやサポートを提供します。
社員自身にできること
社員自身がモチベーションを向上させるためには、以下のような施策を実践することが重要です。自己成長への意識や積極的な行動、自己管理能力の向上が重要です。また、他の社員との連携や協力も重要な要素ですので、チーム内のコミュニケーションや協働を大切にしましょう。
自己目標の設定
自身のキャリアや成長に向けて明確な目標を設定しましょう。目標が明確で具体的な場合、達成感やモチベーションの向上につながります。
自己啓発とスキルアップ
自己啓発のために、書籍やオンラインコース、セミナーなどの学習資料を活用しましょう。また、自身のスキルや知識を向上させるために、新しいプロジェクトや責任を引き受ける機会を積極的に探しましょう。
ポジティブなマインドセットの養成
ポジティブな考え方やマインドセットを持つことは、モチベーション向上に大きく影響します。困難や失敗に対して前向きな態度を持ち、自己効力感を高めることが重要です。
自己評価と振り返り
自己評価や振り返りの時間を設けましょう。自身の成果や成長を客観的に評価し、改善点や学びを抽出することで、自己成長を促進します。
ワークライフバランスの確保
適切なワークライフバランスを保つことは、モチベーションの向上につながります。休息やレジャーの時間を大切にし、リフレッシュすることで、仕事に対するエネルギーと情熱を保ちましょう。
自己表現とコミュニケーション
自身の考えや意見を積極的に表現し、コミュニケーションを図りましょう。他の人との交流や意見交換を通じて、新たな視点やアイデアを得ることができます。
健康管理とリラックス法
健康的な生活習慣を心がけ、ストレス管理やリラックス法を取り入れましょう。適度な運動や睡眠、メンタルヘルスのケアは、モチベーションを高めるために重要です。
社員のモチベーションアップに外部サービスの利用もおすすめ
このように、社員のモチベーションアップにはいろいろな方法があり、自社に合ったものに取り組むことが大切です。自社で状況の分析やモチベーション向上の対策を行うことが難しい場合には、心幸グループの福利厚生支援サービスなど、外部サービスに依頼するのもおすすめです。売店やカフェテリアの運営、からだ測定会、トレーニング指導などその企業にぴったりのサービスを提供しています。
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