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企業防災が重要な理由とは?災害対策で取り組むべきポイント

企業防災が重要な理由とは?災害対策で取り組むべきポイント

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公開日|2024年12月25日
所長|おおたに

目次

企業防災とは

企業防災とは、企業が災害に備える取り組み、対策のことです。一般的な災害対策とは異なり、企業防災ではリスクを想定した上で、それを軽減、回避するためのさまざまな対策を講じます。

2011年の東日本大震災では、多数の企業が甚大な被害を受け、サプライチェーンが停止したことなどにより被災地域以外にも大きな影響が出ました。このような経験を踏まえて、被害が多方面に及ぶ大規模な災害が起こることを企業が想定し、適切な災害対策を取ることが求められます。

なお、「防災」というと自然災害への対策とばかり思われがちですが、企業防災にはサイバー攻撃のような人為的な災害、感染症の蔓延などが含まれることもあります。

企業防災が重要視されている理由

地震や台風などの自然災害が多い日本では、近年発生している大規模災害の教訓からも、災害対策を行うことはごく当たり前のことと考えられています。企業においても、事業の継続や存続のために企業防災は重要なポイントとなっています。

では、なぜ企業防災が重要視されているのでしょうか。主な理由として以下の4点が挙げられます。

顧客や従業員の安全確保

企業防災は、取引先や商品、サービスを利用している顧客、従業員の安全を確保するための方法です。企業防災ではまず、顧客や従業員の安全確保を第一に防災活動に取り組む必要があります。災害によって顧客の命に危険が及ぶ可能性がある場合、従業員は顧客の安全を確保しなければなりません。

顧客だけではなく、従業員の安全確保も企業にとって重要なポイントです。労働契約法第5条には、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」という一文があります。つまり法律上、企業は従業員の安全を確保する安全配慮が義務付けられています。もし防災対策が不十分で従業員がケガをしたり命を落としたりすることがあった場合は労働契約法違反となる恐れもあるため、企業防災に取り組むことは企業にとって非常に重要なのです。

企業の資産保護

企業の資産には設備や建物のほか、自社が保有するデータやシステムも含まれます。災害によって、これらの資産に損害を被る可能性は十分に考えられます。物理的な損害にとどまらず、データを保存するサーバーなどにも被害があると重要なデータの損失にもつながってしまうため、企業防災は企業の資産を保護するために重要です。

資産に損害があると、事業継続が困難になることもあります。事業活動が滞る、またはストップすると、当然ながら損失の発生につながります。防災対策をしっかりと行って損害を抑えられれば、事業を継続することによって損失を抑制する効果も期待できるでしょう。

大災害によるリスク対策

災害は、企業へさまざまな被害をもたらします。企業の設備や建物などの物理的な被害、顧客や従業員へ危険が及ぶ人的被害など、想定を超える被害によって広範囲に影響を及ぼす可能性もあるものです。いつ起こるか予測できない地震であっても、事前の備えがあれば被害を最小限に抑えることが可能です。

大災害時に事業継続が困難となる事例は、東日本大震災でも発生しています。通信障害や停電などが事業継続を難しくさせる原因の一つですが、これは被災地域に拠点が集中していることも原因に挙げられます。企業防災を意識して通信障害対策のための発電機などを設置する、重要な機能を他地域に複数分散させるなどの対策は、リスク対策として有効な手段となるでしょう。

取引先や顧客からの信頼獲得

災害への対策は、取引先や顧客からの信頼にも大きく関わる要素です。災害発生時でも従業員がリーダーシップを発揮していつも通りの対応を行っていれば、顧客に安心感を与えて、信頼できる企業だという印象を持ってもらえるでしょう。

緊急時に獲得した信頼は、災害後も続きます。被災時に良い印象を持ってもらえることによって災害後に取引先や顧客の増加も期待できるため、防災対策は企業にとって重要なことなのです。

企業で防災対策を強化するためのポイント

災害が多発する昨今、防災対策は企業にとって必須であるといえます。しかし、防災対策を行っているつもりであっても、それが不十分である場合は備えが意味を成さなくなることがあり得ます。防災対策を強化してしっかりと備えるためには、以下のポイントを押さえましょう。

マニュアルの策定と周知徹底

企業防災では資産保護やリスク対策も重要ですが、何よりも企業に関わる人を守るための人命保護、安全確保が最優先事項です。そのためにも、実際に災害が発生した際にどのような行動を取るべきかを明示した、災害の種類や状況に応じたマニュアルを策定しましょう。

オフィスの立地や環境も考慮し、海や低地にある場合は津波や洪水時の避難場所や避難経路を決めておく、建物が古い場合は倒壊の恐れのある場所など危険の高い場所から離れるなど、二次災害を防止するための具体的な方法をマニュアルで明確にしておきます。

マニュアルは実行可能で、かつ想定した災害発生時の被害に対応する内容を策定しなければなりません。また、マニュアルは一度作ったものが常に使い続けられるものではない点にも注意が必要です。社会状況や自社の事業内容などに応じて内容を見直さなければ、実際に災害が起こった際に役に立たない可能性があるので、マニュアルは定期的に内容の見直しを行い、アップデートすることが重要です。

マニュアルを策定しても、その内容を従業員が理解していなかったり、そもそもマニュアルの存在を知らなかったりしては意味がありません。そのため、企業防災ではマニュアル策定と同時に従業員への周知徹底も大事なポイントです。社内の情報共有にデジタルツールを使うことは一般化していますが、災害時に閲覧できなくなる可能性があるため、マニュアルの周知にはおすすめできません。紙ベースで配布したり社内に掲示したりするなどの方法で、すべての従業員に災害に備えたマニュアルの周知を徹底しましょう。

定期的な防災訓練の実施

防災訓練は、人的被害を最小限に抑えるための方法の一つです。災害時のマニュアルを頭に入れていても、事前に訓練をしていないと実際に災害が発生した際に行動に移せないことが考えられます。そのため、地震のほか火災などの災害に備えた防災訓練を定期的に実施するのも防災対策強化のポイントです。適切な防災訓練を行っていれば、災害発生時に速やかに適切な対応が可能となり、二次被害の防止にもつなげられます。

そして、防災対策では危機意識の風化防止も大切です。一般的に、大きな災害が発生した後しばらくの間は人々の防災意識が高まりますが、時間の経過とともに危機感が薄れていきます。企業防災においても、従業員一人ひとりの防災意識が薄れてしまうと、防災対策にも悪い影響を及ぼしかねません。防災訓練を定期的に実施することは、従業員が改めて災害に対する対応を見直す機会になるだけではなく、危機意識の風化予防にもなります。

地域コミュニティとの連携強化

企業防災と聞くと、企業内だけの防災対策のような印象があるかもしれませんが、企業が立地する地域との連携も企業防災においてとても重要です。企業は従業員や顧客、取引先に加えて、地域住民の安全確保も求められるからです。

内閣府の中央防災会議が公表している防災基本計画でも、「企業防災の促進」として「企業は、災害時に企業の果たす役割(生命の安全確保、二次災害の防止、事業の継続、地域貢献・地域との共生)を十分に認識し、自らの自然災害リスクを把握するとともに、リスクに応じた、リスクコントロールとリスクファイナンスの組み合わせによるリスクマネジメントの実施に努めるものとする。」との記載があります。つまり、地域コミュニティへの貢献は企業が災害時に果たすべき役割に位置づけられているのです。

そのためにも、企業は防災対策の一環として、オフィス周辺の地域コミュニティと交流をして連携を強化しておくことが必要です。日頃から関わりを持っていれば、いざという時に災害備蓄の提供や移動手段としての社用車の提供など、スムーズに地域住民の安全確保に動けるでしょう。

参考/防災基本計画

災害備蓄品の準備と管理

災害時、ライフラインが寸断したり帰宅困難となったりした場合などに必要な備蓄品は、防災対策として準備しておくべきです。災害備蓄品もマニュアルと同様に、ただ準備しておくだけでは災害発生時に活用できなくなることがあるでしょう。災害備蓄品を適切に使用するためには、準備とともに管理が必要となります。

例えば、飲料水や食料品は災害備蓄品に必要不可欠なものですが、長期保存が可能なものであっても賞味期限はあります。基本的に、災害備蓄品はいつでも使えるものとしなければなりません。そのための取り組みとして、定期的に災害備蓄品の点検を実施し賞味期限の確認以外にも必要なものが揃っているか、従業員が備蓄品の場所や数量を把握しているかなど、日頃から管理しておくことが防災対策として有効な災害備蓄品準備のポイントです。

企業における災害備蓄

基本的に、災害備蓄は家庭用と企業用ではさほど大きな違いはありませんが、業務によって必要となるもの、備えておくべき備蓄品の量が異なります。また、自治体ごとに災害備蓄に関する条例が定められている場合もあります。

備蓄しておくべきもの

企業が最低限備蓄しておくべきものには、以下に挙げるアイテムがあります。

・飲料水・食料品

前述したように、人間の生命維持に必要不可欠な飲料水と食料品は災害備蓄品として必ず準備しておくべきものです。災害備蓄では、最低でも1人あたり3日分の飲料水と食料品を用意しておくことが望ましい、とされています。

なお、大人1人に対する飲料水の目安は、3日分で飲料水3リットルです。大都市のオフィスでは、多数の帰宅困難者が発生することが想定されるため、従業員の数に応じた飲料水と食料品の備蓄が必要です。

・非常用持ち出し袋

家庭でも用意されていることが多い非常用持ち出し袋は、避難時に必要なものを入れたバッグやリュックです。一般的には、携帯ラジオやヘルメット、懐中電灯や救急セットなどを入れておきます。企業の防災対策として従業員全員分の非常用持ち出し袋の準備は難しいため、上記の飲料水や食料品とは分けて準備しておくのがおすすめです。

・毛布・簡易トイレ

毛布は暖を取るために、簡易トイレはトイレが使用できなくなった場合に使うものです。いずれも、災害によってライフラインが寸断された場合に必要となります。消耗品は避難が長くなると使い切ってしまうことがあるため、トイレットペーパーも十分な量を確保しておきましょう。

・発電機

災害により停電が発生したときを想定し、発電機を備える企業も増えています。停電時の電力供給が可能となるので、工場や社内の設備の復旧にも活用できます。必要な電力量は業務内容等によって異なるので、自社で必要な電力容量を供給できる発電機を選ぶ必要があります。精密機械を扱う場合は、電圧や出力が安定しているインバーター式の発電機がおすすめです。

発電機はガソリンまたはカセットボンベといった燃料で稼働するので、発電機を備える際は燃料も必ず備蓄品に加えましょう。

自治体ごとの条例

企業における災害備蓄は義務ではないものの、企業における備蓄について都道府県ごとに条例で定めていることがあります。

例として、東京都では発災3日間で優先するべき救助活動の妨げとなり得る一斉帰宅の抑制を目的として、東京都帰宅困難者対策条例を定めています。この中で、企業は「従業者の施設内での待機を維持するために、知事が別に定めるところにより、従業者の三日分の飲料水、食糧その他災害時における必要な物資を備蓄するよう努めなければならない。」としています。そのため、従業員が3日間事業所内にとどまるための最低3日分の水と食料を備蓄するよう努め、加えて外部の帰宅困難者向けの備蓄としてさらに10%の量を加えるよう定めています。

その他の自治体でも、備蓄量や備蓄の必要日数の目安を条例で定めているので、災害備蓄を準備する際はオフィスが所在する自治体の条例を確認しておきましょう。

参考/東京都帰宅困難者対策条例

非常食はローリングストックで

災害備蓄で必要とされる非常食は、賞味期限を切らさないよう、定期的な管理が必要です。そこで実施したいのが、ローリングストックという方法です。 ローリングストックとは食料品を多めに準備しておき、消費した分を買い足すという、一般家庭でも実施されている方法です。企業で備蓄する非常食も同様に、品目や賞味期限を記載して管理し、賞味期限が近いものから消費して、新しい非常食を追加しましょう。こうすることで、賞味期限に余裕がある非常食を常にストックできます。

福利厚生を兼ねた置き社食でローリングストックを実現

災害に備えて備蓄が必須である食料品ですが、企業で備蓄するとなると数量や賞味期限を管理しておかなければならず、ローリングストックを使用としても手間がかかってしまいます。そこで、非常食を効率的に管理する方法としておすすめの方法です。

オフめしイート&ストックとは、無添加そうざいを真空パックにした賞味期限1年以上の「オフめし常温そうざい」を活用した、食べながら備える新しい備蓄プランです。このプランでは、置き社食としてオフめし常温そうざいを食べながら消費した分を定期的に補充することで、非常食の賞味期限切れを防ぎながら効率的にローリングストックが実現します。置き社食で従業員の福利厚生を充実させると同時に防災対策が兼ねられる方法で、普段社食として食べている食事がそのまま非常食になるので従業員にとっても安心感があり、おいしく食べられる点もポイントです。

まとめ

自然災害が多発する日本では、災害によって企業が大きな損害を被る可能性があります。いざという時に備えた企業防災は、過去の大災害を教訓としてすべての企業で取り組むべきといえるでしょう。

企業が行う防災対策では、顧客や従業員の安全確保や周辺地域との連携などが求められますが、最低限行うべきことの一つが防災対策の基本である備蓄品の準備・管理です。中でも、賞味期限が設定されている食料品は、きちんと管理する必要があります。

企業防災を効率的に進めるには、今回ご紹介した「オフめしイート&ストック」のようにローリングストックしやすいプランなどを活用するのがおすすめです。いつ起こるかわからない災害に備えて、十分な防災対策を実施しましょう。

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