福利厚生施設とは?保有するメリット・デメリットや導入のポイントを解説
従業員のために企業が用意する福利厚生。そのなかでも、企業が独自に提供するものが法定外福利厚生です。さまざまな法定外福利厚生がありますが、とりわけ場所やスペースなどに関するものが「福利厚生施設」です。福利厚生施設の種類は1つや2つではありません。本記事では、福利厚生施設とは何かという基本的な情報から、種類や設けるメリット・デメリット、ポイントを解説します。
目次
福利厚生施設とは
福利厚生施設とは、従業員の慰安や娯楽などのために常時設けられる施設で、直接事業に関係していないものを指します。
給与以外の報酬やサービスの提供が主な役割です。更衣室や給湯室など、業務上必要であるとみなされるスペースや場所は福利厚生施設とはみなされません。
福利厚生施設の種類は?代表的なものを紹介!
福利厚生施設にはさまざまな種類があります。ここでは、代表的な施設を紹介します。
保養所
保養所とは、企業が従業員の研修や保養のために用意する施設です。企業が独自で保有する保養所であれば、従業員は比較的自由に利用が可能です。民間のホテルや旅館、あるいはそれらの一部の部屋を企業が借り上げ従業員の保養所とするケースもあります。契約にもよりますが、この場合は企業保有の保養所と比べて利用が制限されるケースが多いでしょう。
保養所は従業員だけではなく、その家族の利用も可能としている企業も少なくありません。そのため、夏季休暇や年末年始などに家族旅行として利用されることもあります。かつては保養所を有していることが企業のステータスのようにみなされる時代もありました。しかし、時代により保養所に対する意識にも少しずつ変化がみられてきています。
食堂
食堂は従業員が昼食などを食べられる福利厚生施設です。一般的には、社員食堂と呼ばれます。企業の志向や目的ごとに、食堂の雰囲気や食事の内容は異なります。ボリュームのある食事を安く食べられる企業もあれば、従業員の健康管理を目的として、栄養バランスにフォーカスした食事が提供される社員食堂も少なくありません。
食堂を福利厚生施設として導入する場合、条件を満たすことで福利厚生にかかった費用を経費として計上できます。非課税の福利厚生費とするためには、従業員が食事代の半額以上を負担している必要があります。さらに、企業の負担額が従業員1人あたり月額で3500円以下でなければいけません。このような条件があったとしても、割安で食事ができれば従業員にとっては満足度の高い福利厚生施設となるでしょう。
企業内食堂運営をしている心幸グループでは、企業ではたらく従業員に合わせたメニューを提供しています。また、毎日利用する社員食堂だからこそ、季節のメニューやイベントメニュー、ご当地メニューなどの工夫をしています。
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休憩室
休憩室は、従業員が休憩するための施設です。社屋にある休憩室のすべてが福利厚生施設となるわけではありません。特に、福利厚生費として計上し非課税の扱いを受けるためには、食堂と同様に条件を満たす必要があります。
休憩室の場合、事業活動に使用せず、業務において直接的に必要としないのであれば福利厚生施設とみなされます。たとえば、普段は休憩室として使用しているものの、必要に応じて会議室や研修室として使用しているケースでは福利厚生施設とは呼べません。
仮眠室
業務の合間などに従業員が睡眠のために使用する施設が仮眠室です。休憩室と併用可能な形で設けている企業もあれば、異なるスペースとして設置している企業もあります。休憩室と同様に、仮眠室も福利厚生施設としてみなされるには、一定の条件を満たすことが不可欠です。
たとえば、長時間労働が求められる職場において、業務の合間に仮眠を入れなければ差し支えるケースでは福利厚生施設とは呼べません。業務上必須の施設であり、事業活動とも直接関係があるとみなされるためです。従業員が独自の判断で、単に肉体や精神の安定を図るために利用する仮眠室であれば福利厚生施設として認められるでしょう。
運動施設
運動施設は、健康管理や心身のリフレッシュを目的として設けられる施設です。たとえば、多目的の運動場や体育館、ゴルフ場やテニスコートなどがあります。
企業自身が運営し、従業員は比較的自由に利用できる福利厚生施設として設けているところもあります。敷地内に運動施設のある企業もあれば、離れた場所に保養所などと一緒に設置している企業もあります。
一方で、自社で施設を保有するのではなく、フィットネスクラブや運動場を運営する民間企業と提携・契約しているケースも少なくありません。この場合は、従業員を特別会員とし、一般会員よりも安く施設を利用できる方法を採用するのが一般的です。
保育施設
保育施設は、従業員が就業中に自身の子どもを預けられる施設です。少子化のあおりを受け、託児所の数も減少し、働く親が子どもを預ける場所を見つけることが難しくなってきています。そのような需要を満たすのが福利厚生施設としての保育施設です。
保育施設は認可保育所と認可外保育所、さらには企業主導型保育所とに大別されます。
児童福祉法に基づき必要な基準を満たしたうえで自治体に認可される施設が認可保育所です。企業が設置するにはハードルが高いものの、基準をクリアすれば行政からの助成が受けられます。
認可外保育所は認可保育所ほど設置のハードルが高くない反面、自由度は高いものの、行政からの助成は受けられません。
内閣府主導で助成も受けられる保育施設が企業主導型保育所です。仕事と育児の両立支援が目的のため、運営時間の調整などで融通が利かせられます。また、複数の企業での共同運営も可能であり、福利厚生の一つとして企業ページや求人などに「保育所完備」との記載も可能です。
売店
企業内売店は、従業員が企業内で買い物ができる施設です。従業員や関係者向けに、飲料や軽食、文具や日用品などを販売しています。従業員の利便性向上や生産性の向上、社員同士のコミュニケーション促進などの目的で設置されることが多く、従業員満足度の向上に大きな役割を果たしています。
企業内売店の運営を行なう心幸グループでは、コンビニで揃う一般的な商品から、企業独自の商品をラインナップしています。きめ細やかな商品構成ではたらく人の便利を支えています。また、セルフレジ導入による24時間無人営業を可能にしており、日勤・夜勤のある物流施設やメーカーに喜ばれています。
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福利厚生施設に関するトレンドの移り変わり
福利厚生施設に対する価値観や、実際の施設のあり方などは、時代により変化がみられます。ここでは、企業の福利厚生施設に関するトレンドの移り変わりを大まかに解説します。
バブル時代に「ハコモノ」の福利厚生施設が広まった
多くの企業が福利厚生施設を保有しはじめたのは、高度経済成長期やバブル期です。景気が非常によく、多くの企業が成長し資金にも余裕があったため、豪華な社宅や保養施設が全国各地に建設されました。いわゆる「ハコモノ」の福利厚生施設です。特に、企業が積極的に保有したのが保養所です。
リゾート地などに大きな保養所を構え、休暇のたびに従業員が家族を連れて利用するケースも珍しくはありませんでした。バブル期は土地の価格も上がり続けていたため、将来的な地価の上昇も見込んで土地を買い占め、そこに福利厚生施設を設置していた企業も少なくないでしょう。豪華な保養所の保有が、企業にとっても大きなステータスとなっていたことは間違いありません。
近年は福利厚生施設を手放す企業が増えている
バブル崩壊後は景気が悪化し、利益を生みづらい施設や事業を手放す企業も増えました。そのなかで、真っ先に選ばれたのが福利厚生施設です。特に「ハコモノ」の施設は管理や維持にコストがかかり、利益を生み出すどころか圧迫しかねません。一時的には上がった地価も下がってしまった地域が多く、さらに下がる前に手放した企業も多々あるでしょう。新たな福利厚生を取り入れる際も、かつてのような豪華なハコモノ施設を建設する企業はあまりみられなくなってきています。少なくとも、ハコモノの福利厚生施設はトレンドとはいえません。
トレンドは保養所などの施設ではなく、どちらかといえば従業員のワーク・ライフ・バランスを実現する福利厚生です。また、施設を用意するとしても、健康を考えたメニューが揃えられた社員食堂や、管理・維持にコストがほぼかからない提携型の施設を選ぶ企業が目立ちます。
福利厚生施設を運営するメリットとデメリット
福利厚生施設は、メリットとデメリットを把握したうえの導入が重要です。ここでは、福利厚生施設導入のメリットとデメリットを紹介します。
メリット
福利厚生施設の多くは、従業員の肉体や精神面を充実させたり癒したりする目的で設置されます。従業員の望む福利厚生施設が用意できれば、利用した従業員の満足度の向上に寄与するでしょう。従業員満足度の向上はモチベーションを上げることにもつながり、ひいては生産性アップも期待できます。
適切な福利厚生施設では、従業員の健康促進や安定した生活のサポートも可能です。健康状態がよくなることで、離職率や休職率の低下といった効果も期待できます。
企業の福利厚生にも注目して応募先を決定する求職者も少なくありません。人手不足の解消につながる可能性が高まり、離職率などの低下とあわせて採用コストの削減効果も得られるでしょう。一定の条件を満たせば、施設の維持・管理にかかる費用を福利厚生費として計上可能です。非課税の対象となることで、企業にとっては節税効果も得られやすくなります。
デメリット
福利厚生費として計上できて、非課税の対象として認められたとしても、施設の維持や管理にコストがかかることからは逃れられません。もし、用意した施設が事業や業務に直接関係すると判断されれば、給与所得として課税される可能性も出てきます。一定の要件を満たしているかどうかの適切な判断が常に求められる点もデメリットの一つでしょう。
また、保養所は場所や利用条件が限定されるケースも多く、時代のニーズにそぐわなくなってきている側面もあります。家族で旅行するにしても企業とは関係がなく、自由に好きな地域や施設へと行きたいという人が多くなっています。利用されなければ、福利厚生施設として十分な役割は果たせません。本来の目的も失われてしまうため、保有するデメリットが上回ってしまいます。
福利厚生施設の代わりに人気の福利厚生は?
保養所を代表例とする福利厚生施設よりも、さらにニーズが高まってきている福利厚生を紹介します。
食事補助
食事に関する福利厚生は、多くの働く人たちにとってニーズが高い傾向がみられます。社員食堂は福利厚生施設の一つとして紹介しましたが、施設の豪華さよりもヘルシーなメニューなど食事の内容にフォーカスすると、従業員の満足度が上げられるでしょう。
また、食事補助チケットの提供や弁当の宅配も人気の福利厚生です。好みに合わせて選べ、かつ安く手に入れられる点が人気の理由です。菓子やドリンク、惣菜などをオフィスで販売する置き社食のサービスを取り入れる企業も増えています。昼休みにコンビニなどへと行く手間が省け、社員食堂とは異なり軽食も手に入れられる点が人気の理由となっています。
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健康チェック
事業所には年に1回の定期検診が義務付けられていますが、それとは別に、福利厚生として簡易検診や体力測定を行うことも可能です。
従業員の健康意識を高め、実際に健康に問題がないか気遣うことで、企業全体の健康経営を目指せます。肉体面だけではなく精神面にまでフォーカスした健康チェックが行われれば、より生産性の高い職場を目指せるでしょう。
オフィスに健康を届ける「オフけん」では従業員向けの体成分測定・体力測定を行う「出前からだ測定会」を実施しています。従業員一人一人が自身のからだの状態に目を向けるきっかけを作り、健康意識の向上を目指しています。従業員が元気になれば、会社も元気になります。
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住宅手当
家賃や住宅ローンの一部を補助する制度が住宅手当です。生活費のなかでも占める割合の大きな家賃などに対する補助は、従業員からのニーズが高い福利厚生といえます。
従業員が各々好きなエリアや住宅に住んでいる場合には、給与に手当を加算する方法が一般的です。住宅を企業側で契約し、そこに従業員が住む場合には、補助を上回る金額を給与から天引きする方法もあります。基本的には、従業員が個人で借りるケースと比較し安く借りられる点がメリットです。
レジャー施設などの割引
宿泊施設を自前で保有・運営するのではなく、民間の宿泊施設やレジャー施設などと契約して福利厚生として従業員の利用を可能とするケースもみられます。このような場合は、通常と比べて割引価格での利用が可能です。
企業により提携する施設は異なりますが、企業独自の運営施設と比べて従業員の満足度は高い傾向がみられます。結果的に従業員の休暇の充実度を上げられるでしょう。また、家族で利用するケースが増えれば、従業員だけではなく家族からの企業に対する信頼度の向上も期待できます。
福利厚生施設に関するQ&A
福利厚生施設に関して、代表的なQ&Aを紹介します。
福利厚生施設を導入する流れは?
福利厚生は自社で働く従業員に利用され、かつ満足度を上げられなければ意味がありません。そのために、まずは、従業員のニーズを調査し把握します。
そして、ニーズに沿った施設を選定し、設置場所や運用方法を決定します。具体的な利用方法や規約等を従業員に周知し、利用を促しましょう。
福利厚生施設は有料で提供してもいいの?
福利厚生施設の利用は有料でも問題ありません。実際に、多くの企業では社員食堂や提携のフィットネスクラブなどの利用は有料となっています。
一般的な相場や利用料と比べると割引価格に設定されているケースが多く、それが福利厚生としての意味合いを強くしています。
従業員のニーズに合わせた福利厚生を導入しよう!
福利厚生導入の際は、従業員のニーズに合わせることが重要です。選択肢や視野を広げるために、企業内福利厚生に関わる専門サービスを提供する企業へと相談するのもよいでしょう。
心幸グループでは、働く人たちにとってニーズの高い社員食堂やカフェテリア、売店などの設置・運営、置き社食「オフめし」、キッチンカー業者・飲食店派遣「ごちショウ」、健康経営サポート「オフけん(オフィスに健康を)」による「出前からだ測定会」などを展開しています。
各企業に合った提案が受けられるので、福利厚生の導入に興味のある企業は問い合わせてみましょう。
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