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エンゲル係数が高くなるのはなぜ?解決策としての節約方法と福利厚生

エンゲル係数が高くなるのはなぜ?解決策としての節約方法と福利厚生

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更新日|2025年2月13日
所員|すずき
この記事の概要

エンゲル係数の値は生活水準を示す指標として用いられ、エンゲル係数が高くなる理由にはいくつかの要因があります。そこで本記事では、エンゲル係数の基本と高くなる理由と値を下げるための節約術、企業ができる従業員のエンゲル係数を下げる福利厚生について解説します。

目次

エンゲル係数とは

エンゲル係数とは、家計の消費支出に占める食料費の割合のことです。例として、1年間のエンゲル係数を算出するには、年間の消費支出で食料費を割ります。これは、ドイツの社会統計学者エンゲルが発表した、所得が増えるにつれて食料費の割合が下がるという、エンゲルの法則にちなんだものです。

消費支出とは、食料費のほかに生活する上で必要な光熱費や住宅費、日用品代などを指すものです。食料費は生きる上で必要不可欠な費用であるため、その他の費用よりも一定以下に抑えることは困難です。所得における食料費の割合が多くエンゲル係数が高い場合、その他に回す金銭的余裕がなくなるため、一般的にエンゲル係数の高さは生活水準の低下を示す指標といわれます。

エンゲル係数が高くなる理由

後述するように、日本のエンゲル係数は上昇傾向にあります。なぜエンゲル係数が高くなるのか、その理由として以下に挙げる4点が考えられます。

物価の高騰

物価の高騰は、エンゲル係数の上昇に大きく関係します。食料品以外でも全体的に物価が高騰している中、生活に必要な食料品にかける支出はなかなか減らせません。日本は他国と比較すると食料自給率が低いため、輸入食品を多く利用しています。近年の円安傾向に加えて、原油価格の上昇による物流費や資材費の上昇などの要因で輸入コストが上がっていることも、物価の高騰に拍車をかけています。

物価が上がっている中で日用品代や娯楽費などを節約しても、食料品そのものの価格が上がっていると、食料費の割合が上昇し、エンゲル係数も高くなってしまうのです。

食生活や食嗜好の変化

物価の高騰はエンゲル係数を高くする直接的な要因ですが、エンゲル係数が上がる理由には他の要素も含まれます。

たとえ物価が上がっていないとしても、食生活の内容はエンゲル係数が上昇に関わる要因です。日々の食事一つ取っても、食料品を購入して自炊をする方が、外食をするよりもコストを抑えられます。そのため、外食が多い食生活を送っていると、エンゲル係数は高くなります。新型コロナウイルス感染症の流行によって急速に普及したデリバリーサービスやテイクアウトを利用する方は多いですが、これらの利用も食料費の支出を増やす原因の一つです。

また、食材や嗜好品にこだわるなどの食嗜好の変化によってもエンゲル係数は上がります。同じ内容の食事を取っていても、少しでも良い品質の食材を選んだり、高級志向になったりすると、必然的に食料品にかかるコストが上がり、エンゲル係数も上昇します。

生活スタイルの変化

食生活の変化は、普段の生活スタイルの変化によって起こる可能性があります。毎日の食費を抑えるためには、手頃な食材で自炊するのが最適です。しかし、仕事が多忙でなかなか自炊できなくなったり、共働きで食事の準備にかける余裕がなくなったりすると、手軽に取れる外食や調理済み食品の利用が増える傾向があります。

日中働いている方は、手作りのお弁当を持参するとランチ代を節約できますが、生活スタイルが変化してお弁当の準備がままならなくなってしまうと、市販の弁当やインスタント食品、外食を取らざるを得ません。

このように、生活スタイルの変化も食料費が上昇してエンゲル係数を挙げる要素となるのです。

高齢化率の上昇

日本全体でのエンゲル係数の高さの大きな要因には、高齢化率の上昇が考えられます。

現在、日本は高齢化率が右肩上がりで上昇しており、2023年時点での65歳以上の高齢者の割合は29.1%と過去最高を記録しています。年金生活を送る高齢者の場合、支出そのものは減少しますが、生活で欠かせない食料にかける費用が減らないことが多いため、働く若い世代と比較するとエンゲル係数が高くなります。

つまり、高齢者の割合が増えてエンゲル係数が高い世帯が増加することが日本全体のエンゲル係数も押し上げている原因となるというわけです。

参考/内閣府「令和6年版 高齢社会白書(全文)(PDF版)」

エンゲル係数の推移と平均値

エンゲル係数についてのデータは、総務省統計局が公表している「家計調査報告」で確認できます。

日本のエンゲル係数の水準は高い傾向にあり、2人以上世帯の2023年度のエンゲル係数の平均値は27.8%、3人家族で30.4%でした。費目で見ると、魚介類や調理食品にかける費用が減少している一方で、外食が増加しています。

過去の平均値を見ると、エンゲル係数は緩やかに上昇傾向に推移しており、2000年以降月ごとのデータで最も低かった2005年の19.7%と比較すると、2024年5月以降は20%台後半を記録しているため、食料にかかる費用の増加によって家計が圧迫されている傾向が数字からも見て取れます。

なお、2025年2月7日に総務省が公表した家計調査報告によると、2024年度の消費支出平均は2人以上の世帯で30万243円、エンゲル係数は28.3%ということが判明しました。これは43年ぶりの高水準で、物価の高騰が大きく影響し、家計を圧迫していることが要因の一つだと考えられます。

参考/総務省統計局「家計調査報告」 
NHK「食費をどうする 物価上昇の中で エンゲル係数8月は30%超 2000年以降で最高に」

エンゲル係数が高い場合の食費節約術

エンゲル係数は、お金の流れを確認すれば簡単に計算できます。もし食料費が家計を圧迫しているのであれば、まずは食料品にかかる出費を節約してエンゲル係数を低くしましょう。

収支を見直す

1カ月あたりの収入は把握していても、支出をきちんと把握していない、という方は多いかもしれません。正確な支出額がわかならければ、エンゲル係数も正確に把握できません。節約をするには、まずは収入と支出を正確に把握することが大事です。いつどの程度、何にお金を使ったのか、家計簿で毎日記録を付けましょう。

家計簿で収支を記録していると、お金の流れを可視化できます。記録した内容をチェックして全体の収支を把握できればお金の使い方も見直しができ、無駄な出費を防げるでしょう。

できるだけ自炊をする

外食や調理済食品は食事を用意する手間が省けるため、多忙な方にとっては便利ですが、自炊よりもコストがかかります。特に、外食の回数が増えると食料にかかる費用はかさんでしまうので、できるだけ自炊をすることがエンゲル係数を下げるための重要な節約方法です。

自炊を心がけていたとしても、使用する食材に費用をかけすぎては意味がありません。節約を意識して自炊に使う食材を選ぶ際は、時期にかかわらず価格が安定している卵やもやし、豆腐などの食材、比較的安価でボリュームがある厚揚げや豆腐などの食材を活用するのがおすすめです。また、時期に応じて価格が下がる旬の食材を活用することも、節約効果が期待できます。

作り置きを活用する

食料費を節約するにはできるだけ自炊をするのがベストですが、仕事が忙しく料理する時間が取れない方は、自炊する時間を確保することが難しいかもしれません。そこでおすすめしたいのが、作り置きの活用です。

休日など時間に余裕があるときに、まとめて作り置きをして冷凍保存しておきましょう。食事のたびに料理をすることが厳しい場合でも、作り置きなら加熱するだけで手軽に食べられ、外食やデリバリーなどを利用するよりも費用を抑えられます。食材をまとめ買いして一度に調理すれば、食材にかかるコスト削減にもつなげられるでしょう。

作り置きは品数を増やすと調理に手間がかかるので、最初は数品ずつから無理なく作っておくのがポイントです。きちんとした料理を揃えるのが難しい場合は、食材の下ごしらえを済ませておくだけでも調理時の手間を減らせます。

予算を決めておく

スーパーへ足を運んで食材を買うとき、何も考えずに欲しいものをどんどん買ってしまうと無駄遣いにつながり、食料費が増える原因です。食材を買う際のポイントは、あらかじめ予算を決めておくこと、買い物リストを作成して買うものを決めておくことです。予算と買うものを設定しておけば、余計なものを買うことが減り、買いすぎ・お金の使いすぎを防げます。

しかし、予算や買うものを決めておけばいいものではなく、買い物の頻度が高いと食料費は増えてしまいます。つい毎日スーパーに立ち寄りたくなるかもしれませんが、買い物は週1、2回程度、特売日やセールの日のみに留めておくと、節約につなげられます。

働く世代のエンゲル係数を下げる福利厚生

働く世代はランチを会社や飲食店などで取ることが多いため、どうしても食料費が増えてエンゲル係数が高くなりがちです。お弁当を持参すれば食料費を節約できますが、多忙な方は毎日お弁当を作り続けることは簡単ではありません。そんな働く世代を多く擁する企業で従業員のエンゲル係数を下げるためにできることの一つが、企業が従業員の食事にかかる費用を一部補助する福利厚生です。

企業が導入している食事に関わる福利厚生は、主に以下の3種類です。

社員食堂

企業が従業員に提供する食事補助としてポピュラーなのが、社員食堂です。自社のオフィス内に従業員向け食堂を設置し、提供する食事にかかる費用の一部も企業が負担します。

従業員は栄養バランスに優れた安価で温かな食事を毎日食べることができるので、食事にかかる費用を軽減しつつ健康サポートも兼ねられるメリットを得られます。また、他の従業員と一緒に食事を取れる場が提供されることにより、コミュニケーションの活性化も期待できます。

企業側にとって社員食堂の導入は従業員の満足度につながるメリットがありますが、社員食堂の設置には十分なスペースの確保や導入・運営、人員確保などのコストがかかるため、食事補助の福利厚生の中では導入のハードルが最も高いといえます。

食事代補助

社員食堂の設置が難しいでも、食事にかかる費用を補助する福利厚生として食事代補助を導入している企業も多く見られます。現金を直接支給する方法のほか、食事代の支払いに利用できるチケット配布も食事代補助の方法です。

チケットは企業が独自で発行するタイプに加えて、福利厚生代行サービスなどが提供する全国のコンビニエンスストアやレストランなどで食事代の支払いに利用できるチケットを配布する方法があります。

食事提供

食事提供のための社員食堂設置が難しい企業では、別の方法で食事提供を福利厚生として実施しています。

食事を提供する方法で多く導入されているのが、企業が一部の費用を補助したお弁当や食事を直接オフィスに配送するデリバリーサービスですが、近年はオフィス内に設置した冷凍庫や冷蔵庫に入った惣菜や弁当などを従業員が選択できる「置き社食」も注目されています。

置き社食は、冷凍庫や冷蔵庫の設置スペースのみを用意するだけで済み、社員食堂よりも省スペースです。主菜や惣菜などさまざまなメニューを揃えられるので、従業員は社員食堂のような感覚で食事を選べるのがメリットです。

従業員の食費節約に効果的な心幸の福利厚生

従業員の食費を節約してエンゲル係数を下げるには、食事を補助する福利厚生の活用がポイントとなります。食事の補助は従業員の節約につながるだけにとどまらず、満足度の向上、自社へのモチベーションアップも期待できます。しかし、どのような食事補助を提供すればいいのか判断できない場合は、福利厚生をサポートする心幸にご相談ください。

心幸グループでは、社員食堂・カフェテリアや企業内売店経営、置き社食など食費節約につなげられるさまざまな福利厚生をサポートしています。それぞれのサービスのメリットやデメリットを考慮し、最適な福利厚生導入が可能となります。

まとめ

消費支出のうち食料費を占める割合を示す指標であるエンゲル係数は、物価上昇や食生活・嗜好の変化など複数の要因で上昇しています。食料費の割合が増えて生活水準が下がることを防ぐためにまずできるのは、食費を節約することです。

働く世代はランチで外食することが多いため食費が増えがちですが、勤務先企業が導入する食事補助の福利厚生があれば、食費を節約してエンゲル係数を下げることができるでしょう。企業にとっても、食費を節約できる福利厚生を導入することは従業員の満足度やモチベーションの向上が期待できる、メリットが大きいものです。

食事補助は、ノウハウがないと自社のみで導入が難しいことがありますが、福利厚生をサポートする心幸なら企業に合った福利厚生導入のサポートが可能です。従業員の食料費節約につながる福利厚生導入を検討中の企業担当者の方は、心幸グループへ一度ご相談ください。

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