社員旅行は何泊まで福利厚生費で処理できる?経費の条件を徹底解説!
多くの企業が社員の労をねぎらい、チームの結束を強化するためにさまざまな社内行事を実施しています。社員旅行の取り組みもそのひとつです。しかしながら、社員旅行の経費としての取り扱いには、特定の条件が存在するのを知っていますか。この記事では社員旅行の概念や、福利厚生費として経費処理できる条件、シチュエーションごとの経費処理について詳しく解説します。
目次
社員旅行とは?
「社員旅行」とは、企業や組織がその社員や関係者を対象に行う旅行のことを指します。これは、従業員同士の親睦を深める、労をねぎらう、チームワークを促進する、社員のモチベーションを上げるなど、さまざまな目的で企業から提供される福利厚生の一つとして行われます。
社員旅行は、国内外の観光地やリゾート地に数日間旅行することが多いですが、内容や行き先は企業の規模や予算、目的によってさまざまです。大規模な企業や団体では、専用のバスをチャーターして行うこともあります。
社員旅行は、参加者が楽しむだけでなく、職場ではない状況でのコミュニケーションを通じて、普段の業務では得られない人間関係の構築や深化が期待される活動でもあります。
社員旅行、慰安旅行、研修旅行の違い
社員旅行、慰安旅行、研修旅行は、企業や組織が自らの社員や関係者を対象に実施する旅行を指す言葉として用いられますが、それぞれの目的に違いがあります。一般的に、社員旅行は従業員の福利厚生として、または社員間の親睦を深めるために実施されます。一方、慰安旅行は特に従業員の労をねぎらう目的で行われる旅行を指し、研修旅行は職業教育やスキルアップを目的として行われる旅行を指します。
しかしながら、税務上の取り扱いに関しては、国税庁は社員旅行と慰安旅行の間に明確な差別化をしていないため、両者を同じように扱っても問題ないとされています。
名称 | 目的 | 国税庁の扱い |
社員旅行 | 社内コミュニケーション活性化 | 従業員レクリエーション旅行 |
慰安旅行 | 日々の仕事に対する労い | 従業員レクリエーション旅行 |
研修旅行 | 社員のスキルアップ | 研修旅行 |
社員旅行は福利厚生費(経費)で処理できる?
結論から言うと、社員旅行は福利厚生費として経費処理できます。しかし、福利厚生費にするには、下記に記載する条件があります。この条件を順守することで、福利厚生費として経費処理可能です。
そもそも、福利厚生費とは、会社が従業員のために支給する給与や賞与とは別に、付与される報酬を指します。給与や賞与が課税対象なのに対し、福利厚生費は非課税対象であるため、従業員にとっては、所得税がかからず支給されるので、節税になるメリットがあります。
社員旅行を福利厚生費(経費)にする3つの条件
社員旅行を福利厚生費として経費処理するには、3つの条件があります。
旅行期間が4泊5日以内であること
福利厚生費(経費)として社員旅行を計上する際、4泊5日を超えない期間が基本的な条件となっています。この期間内であれば、通常は福利厚生費(経費)として認められます。
ただし、旅行の中の特定の部分だけを経費計上するといったことは、認められない場合もあるため、4泊5日の枠内で計画することが推奨されます。
旅行参加者が全体の人数の50%以上であること
社員旅行を福利厚生費(経費)として計上するためには、参加人数の条件も設けられています。全体の半数以上、すなわち50%以上の参加が必須となっています。
アルバイトやパートもこの計算に含まれるので注意が必要です。また、特定の工場や支店単位での旅行を実施する場合も、その職場の人数の半数以上が参加しなければなりません。
重要なのは、社員旅行は全社員の福利厚生の一環として行われるものと捉えられており、特定の社員だけへの報奨旅行として提供する場合は、社員旅行としては認められない点を理解しておくことが大切です。
旅行プランが「社会通念上一般的なもの」であること
社員旅行の内容には特定の基準が存在します。社員旅行は主に、社員のリフレッシュやコミュニケーションの促進を目的としています。
そのため、その内容は「一般的に受け入れられる範囲」であることが求められます。過度に贅沢な旅行内容にすると、経費としての計上が認められないリスクがあるので要注意です。
国税庁による具体例
社員旅行を福利厚生費として経費処理できるか否かは「その旅行の条件を総合的に勘案して判定する」とされています。社会通念上一般的な金額で、会社の負担額が少額の範囲内であれば問題ない、とされていますが、果たしていくらまでがOKで、いくらからがNGなのでしょうか。国税庁では、具体的な金額を明らかにしていません。ただ、3つの事例を上げていますので、参考までに記載します。
判断 | 福利厚生費として経費で処理可能 | 福利厚生費として経費で処理不可 | |
旅行期間 | 3泊4日 | 4泊5日 | 5泊6日 |
費用および負担状況 | 旅行費用15万円(内使用者負担7万円) | 旅行費用25万円(内使用者負担10万円) | 旅行費用30万円(内使用者負担15万円) |
参加割合 | 100% | 100% | 50% |
判断理由 | 旅行期間・参加割合の要件および少額不追求の趣旨のいずれも満たすと認められることから原則として課税しなくてもよい | 旅行期間が5泊6日以上のものについては、その旅行は、社会通念上一般に行われている旅行とは認められないことから課税される |
福利厚生費(経費)で落とせるのは「何泊まで」?
上記「社員旅行を福利厚生費(経費)にする3つの条件」で述べた通り、社員旅行期間は4泊5日以内であることが基本的な要件です。この期間を超えてしまうと、通常、福利厚生費としての経費計上は認められないことになります。
したがって、計画段階でこの期間を考慮して社員旅行のスケジュールを組むことが重要です。
「家族での社員旅行」は福利厚生費(経費)になる?
家族で経営する企業では、「家族旅行」と「社員旅行」をはっきりと分けることが重要です。社員旅行の主な目的は、社員の努力を称賛することです。従って、家族の子供などを同伴する際には、その費用は経費として計上できないので、気をつける必要があります。
家族経営の場合、社員旅行の背景に明確なビジネス的な根拠を持たせることが推奨されます。純粋にプライベート目的の旅行は、経費として認められないリスクがあるので、計画を進める際には注意が求められます。
「家族を連れて」社員旅行に参加する場合は?
社員旅行で家族を伴う場合、家族の費用は自己負担となる点を理解しておく必要があります。なぜなら、福利厚生費は基本的に従業員だけを対象としているからです。会社が家族の旅費を負担する場合でも、給与として課税の対象となる可能性が高くなります。
「海外に行く社員旅行」は福利厚生費(経費)になる?
上記「社員旅行を福利厚生費(経費)にする3つの条件」を満たす場合は、海外の社員旅行も福利厚生費として経費処理できます。
ただし、かかる費用は「一般的に受け入れられる範囲」であることが求められます。目に余る贅沢な旅行プランになれば、福利厚生費として認められない場合があるので注意しましょう。
社員旅行中に使った費用は福利厚生費(経費)になる?
社員旅行の際の経費処理の範囲について、どこまでが認められるか、そして何が除外されるのかの明確な区別が分からない人も多いかと思います。交通費や宿泊費以外に、経費として計上可能な項目やそうでない項目を説明します。
社員旅行における食事の経費→OK
社員旅行の間に発生する食事代は、一般的に福利厚生の一環として経費処理が許容されます。特に、参加している全員が共同で食事を楽しむ場面においては、その経費を認められることが多いです。
宿泊施設での食事提供がない場合など、食事のための場所や時間をスケジュールに組み入れることも考慮してください。
社員旅行における観光活動の経費→OK
旅行先での観光活動に関連する費用も、経費として認められることが一般的です。
例えば、専用のバスをチャーターしての観光ツアーや、その地域特有の観光スポットへの訪問など、集団での活動としての観光は経費対象となることが多いです。
社員旅行での自由時間中の支出に関して→NG
社員旅行では、グループ行動のほかに、個人や少人数での自由行動の時間を設けることが一般的です。しかし、この自由行動時に発生する食事代や観光代などの個人的な支出は、原則として経費として計上することはできません。
そのため、この点を参加者に明確に伝えることで、後の混乱を避けることが重要です。
社員旅行でのお土産の経費について→NG
社員が旅行中に自ら選んで購入するお土産の費用は、私的な出費と見なされるため、これを経費として扱うことは原則できません。
旅行の際には、このような個人的な出費に関するガイドラインを事前に共有し、確認しておくことが推奨されます。
社員旅行に不参加の場合の金銭支給は福利厚生費(経費)になる?
社員旅行に不参加の社員から旅費の金銭支給を求められた場合の経費処理について紹介します。自己都合と業務の都合によって取り扱いが異なります。
社員旅行を自己都合により不参加
社員旅行に自らの意志で参加しなかった従業員に、その旅費に相当する金額を支払う場合、参加した社員を含めた全員に対して、その支払い金額が給与とみなされて課税されることになります。(所基通36-30、36-50)
参加した社員を含めた全員が給与扱い(課税対象)になりますので、注意が必要です。
社員旅行を業務都合により不参加
業務上の理由で社員旅行に参加できなかった従業員に、旅行の費用に相当する金を支払う場合、この支払金額は参加できなかった従業員に対しての給与として課税されます。
しかし、この場合、実際に旅行に出席した従業員の費用が給与として課税されることはありません。
まとめ
社員旅行は、チームの結束を深めるだけでなく、従業員のモチベーションをアップさせる効果もあります。これを福利厚生費として計上することで、経済的なメリットも享受できます。
社内コミュニケーション促進と従業員リフレッシュの機会を提供する社員旅行は、組織の生産性を高める要素として、各企業において重要な投資といえるでしょう。
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