ストレスチェックとは?義務化対象拡大の目的と導入・実施方法を解説
目次
ストレスチェックとは
ストレスチェックとは、2015年の労働安全衛生法改正で一定規模の事業所で義務付けられた、従業員が自身のストレス要因やストレス反応などを調べるための検査です。ストレスチェックは現在、従業員数が50人以上の事業所で1年以内に1回の実施が義務化されています。実施義務がある事業所はストレスチェックの結果を紙またはデータで5年間保存する義務があり、実施後には労働基準監督署へ報告を行わなければなりません。
これまで、従業員数50人未満の事業所でのストレスチェックは努力義務でした。しかし2024年11月、厚生労働省は従業員数50人未満の事業所においてもストレスチェックを義務化する方針を固めたため、将来的にすべての事業所でストレスチェックが義務化されることとなります。
ストレスチェック義務化対象拡大の目的
従業員50人以上という一定規模の事業所を対象としていたストレスチェックの義務化が、なぜ小規模な事業所も対象に含まれる流れとなったのでしょうか。ストレスチェック義務化の対象拡大には、以下のような目的があります。
増加する精神障害による労災認定の抑制
精神障害が原因の労災認定は、年々増加傾向にあります。厚生労働省が公表した2023年度の「過労死等の労災補償状況」によると、精神障害による労災請求、労災認定ともに過去最多を記録しており、ストレスを抱える従業員が増加していることがわかります。
ストレスを抱える従業員を抱えているのは、規模の大きな企業ばかりではありません。総務省・経済産業省が公表した2021年の「令和3年経済センサス‐活動調査」では、従業員数50人未満の事業所は全事業所の95.9%を占めていることが判明しています。
つまり、小規模事業所までストレスチェックの対象者を広げることで、より多くの労働者へメンタルヘルスケアの拡充が可能となります。これにより精神障害による労災認定を抑制することが、小規模事業所へのストレスチェック義務化拡大の目的の一つといえます。
心理的ストレスの早期発見・不調の予防
全労働者へストレスチェックを義務化することにより、心理的ストレスの早期発見やメンタルヘルスの不調予防につなげることも、義務化拡大の目的です。
メンタルヘルス対策には、大きく分けて以下の3段階があります。
・一次予防:未然防止
・二次予防:早期発見・対処
・三次予防:職場復帰支援
心理的ストレスによりメンタルヘルスに不調を感じているにもかかわらず適切な対応を受けられない場合、仕事ができない状態に陥ることがあります。その段階で三次予防を実施するよりも、最初の一次段階で気づき対処した方が個々人のメンタルヘルスの不調により良い対策ができます。ストレスチェックを実施すれば、早い段階で不調の原因となっている心理的ストレスに気づくことが可能です。
メンタルヘルスの不調は、心理的ストレスの早期発見で防げるものです。ストレスチェックの結果に応じて速やかに面接指導などの一次予防を実施することで、メンタルヘルス不調の予防につなげられるので、労働者全体のメンタルヘルス不調を予防するためにも義務化対象の拡大が検討されたというわけです。
ストレスチェックの要件
ストレスチェックを実施するには実施者や実施事務従事者を指名する必要がありますが、実施する人員に対しては特に資格が求められません。ただし、ストレスチェックの結果によって不当な扱いを受けることがないよう、人事担当者はストレスチェックの実施者や実施実務従事者にはなれません。
そして、ストレスチェック対象者は常時使用する従業員です。そのため正社員や契約社員だけではなく、その他の雇用形態の従業員も対象になる可能性があります。例えば、派遣社員は契約期間1年以上、かつ週の労働時間が通常の労働者の4分の3以上という要件を満たしている場合に対象となります。その他にも、役員や退職予定の従業員、外国人労働者も対象に含まれます。
ストレスチェックで注意したいのが、義務化されているのが「事業所による実施」である点です。従業員の受検は義務とはなっておらず、あくまでも任意です。つまり、必ずすべての従業員がストレスチェックを受けなければならないわけではありません。しかし、事業所側は従業員のメンタルヘルス対策のために、全従業員の受検を推奨するよう促す必要があります。
ストレスチェックを導入する際の問題点
ストレスチェックが義務化になり、各企業で導入・実施する際には、いくつかの問題点が起こることが考えられます。
実施コストがかかる
ストレスチェックを導入・実施するためのコストは、すべて事業者が負担しなければなりません。従業員数50人未満の事業所までにストレスチェックの義務化対象が広がると、従業員のメンタルヘルス対策を拡充できる一方で、企業にかかるコストが増えるのが問題点の一つです。
ストレスチェックにかかるコストは導入内容や実施方法、事業所の規模などによって変動しますが、実施そのものにかかるコストに加えて、ストレスチェックの実施者や実施事務従事者にかかる人件費、ストレスチェックの結果に応じた面接指導や職場環境の改善などもストレスチェックのコストに含まれます。
現時点でも、従業員数が少ないほどストレスチェック実施率が低くなる傾向がありますが、これは人的リソース不足が原因の一つと言われています。実施体制が整っていないケースが多い小規模事業所には、大きなコスト負担となる可能性があるでしょう。
健康管理体制が不十分
ストレスチェックは実施して終わりではなく、その結果に基づいた適切な対応が重要です。ストレスチェックを実施して、心理的ストレスが高い高ストレス者が出た場合は、事業所側に十分は健康管理体制が求められます。しかし、ストレスチェック導入のみの対応しかしていない場合はメンタルヘルスに不調を抱える従業員の健康管理体制が不十分となり、得られた結果が十分に生かされない可能性があることが問題点に挙げられます。
ストレスチェックを導入しても、健康管理体制が十分でなければ意味がありません。高ストレス者という結果が出た従業員に対する面接指導や相談窓口を設置するなど、ストレスチェックの結果を元にした健康管理ができる体制を整えておく必要があります。 医療機関の受診で休職が必要と判断された場合にスムーズに休職できるか、休職後に速やかに職場復帰ができるかなど、ストレスチェック導入と同時に高ストレス者に対する支援体制も整えておくことが重要です。
適切な健康管理が困難
健康管理体制を整えることそのものが困難となることがある点も、ストレスチェック導入の問題点の一つです。ストレスチェックは結果を参考に改善を行うことで、従業員にとって快適に働きやすい労働環境の実現を可能とする方法です。ストレスチェックを十分に生かすには、ストレスチェック結果を踏まえた適切な健康管理が求められます。
しかし、このような結果を元に健康管理を実施することが難しいことがあります。また、ストレスチェックの結果には従業員一人ひとりの個人情報が含まれていることはもちろん、メンタルヘルスに関わるセンシティブな内容が含まれていることも、適切な健康管理を難しくさせる要因です。
また、現在はストレスチェックの実施後は労働基準監督署への報告が義務付けられています。しかし今後義務化が50人未満の事業所まで拡大したとしても、小規模事業所の負担軽減のために報告は義務付けられない方針です。報告まで義務にはならないことで、ストレスチェック実施のみが形骸化して健康管理がおざなりになり、ストレスチェックが意味を成さなくなることも懸念されています。
50人未満の事業所へのストレスチェック導入の注意点
これまで努力義務だった従業員50人未満の小規模事業所でも、今後はストレスチェック導入が義務化されるとみられます。小規模事業所で実際にストレスチェックが導入する際は、以下の2点に注意する必要があります。
柔軟な対応を行う
ストレスチェックを導入すると、従業員の心理的ストレスの早期発見などにつながるメリットがある一方で、企業はその結果に応じた対応も行わなければならないことが第一の注意点です。前述したように、ストレスチェックは導入・実施だけで終わるものではありません。特に、メンタルヘルスの悪化は職場環境が要因となることが多いため、ストレスチェックで高ストレス者が判明した場合は、事業所側でも柔軟な対応が必要です。
職場環境に強いストレスを感じている従業員がいる場合は、働きやすいオフィス作りのほか、勤務時間や勤務体系など幅広く調整する必要も出てくるでしょう。場合によっては、窓口の設置や休職制度の導入、ハラスメント対策なども行うこととなるため、ストレスチェック導入時は実施後の対応も検討しておくべきでしょう。
外部委託の要否を検討する
ストレスチェックは、産業医が関わる場面が増えるものです。ストレスチェックの実施者となることもあれば、結果に応じた面接指導も担当します。
厚生労働省では、従業員50人以上の事業所で産業医の選任を義務付けていますが、今回ストレスチェックの対象となると見込まれる50人未満の小規模事業所には選任義務がないため、小規模事業所で産業医が常勤していることはあまり多くはないでしょう。そのため、産業医が不在であることが多い小規模事業所でのストレスチェックは、実施体制を整えることが難しくなる可能性があります。また、ストレスチェックはセンシティブな内容を含むものなので、情報保護も重要なポイントとなります。
このような事情もあり、小規模事業所でのストレスチェック実施には、外部委託が推奨されています。外部委託には当然ながらコストがかかるため、小規模事業所でのストレスチェック導入を進めるには外部委託の要否もしっかり検討する必要があるでしょう。
ストレスチェックツール導入で効率的なストレス管理を実現
ストレスチェックには、作成した調査票を従業員に配布して回答をしてもらい、データを収集・分析を行う紙ベースの方法に加えて、専用ツールやアプリを使用する方法があります。産業医を選任していない小規模事業所では調査票の準備に紙や印刷代などのコストがかかり、外部委託をする場合はさらにコストが高くなる可能性もあります。
紙ベースのストレスチェックが困難な小規模事業所で従業員のストレス管理を実施するには、ストレスチェックツールの導入が便利です。スマートフォンのアプリで従業員のストレスチェックが実施できるので、効率的にストレスチェックを含めた従業員のストレス管理が実現します。
手軽なストレスチェックができるアプリ活用がおすすめ
オフィスでのさまざまな業務が電子化されているのと同様に、ストレスチェックもパソコンやアプリで使用できるツールが普及しています。中でもおすすめが、健康経営をサポートするアプリ「オフけん」です。
オフけんの体調管理アプリは従業員の健康管理ができるアプリで、厚生労働省推奨項目を網羅したストレスチェックに対応しています。紙ベースよりも効率的にストレスチェックを実施でき、結果のデータ化やペーパーレス化が可能です。
ストレスチェックと併せて、さまざまな健康に関わるサービスの利用ができ、しかも事業所単位での料金プランなので、小規模事業所でもコストを抑えながら手軽にストレスチェックの実施が可能です。
まとめ
50人未満の小規模事業所までストレスチェックの義務化対象が拡大するのは、精神障害による労災認定抑制、より多くの働く人のメンタルヘルスの早期発見・予防が目的となっています。
今後、小規模事業所でもストレスチェックの義務化が決定されることが見込まれますが、導入にあたっては多くの準備期間やコストをかける必要が出てきます。その負担を軽減するための方法の一つが、ツールの導入です。
オフけんではストレスチェックを備えた健康管理アプリを利用できるので、小規模事業所での導入が容易になります。リーズナブルな料金でストレスチェックを含めた従業員の健康管理を実現できるオフけん導入を、ぜひ検討してみてください。
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オフけん(運営:心幸ウェルネス)では、「健康経営優良法人」認定取得サポートを中心に、企業の健康経営をバックアップしています。形だけの健康経営ではなく、従業員の健康と幸福に真剣に向き合う取り組みを提案。真の健康経営を実現しています。「からだ測定会」では、体成分測定・体力測定により従業員一人ひとりのからだ年齢が明らかに!他にも、健康セミナー、禁煙サポートなどのサービスを通して、従業員の健康意識を向上させ、元気な会社づくりに貢献します。
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