給与の増加と福利厚生充実どちらがお得?給与と福利厚生費の違いを解説
給与の増加と、福利厚生を強化するのは、どちらがより有益かという疑問は、多くの企業と従業員が抱えるテーマです。給与と福利厚生の最大の違いは、給与が課税の対象となるのに対し、福利厚生は一定の条件下で非課税とされる点にあります。この記事では、給与と福利厚生の違いや、どちらがお得かを解説していきます。
目次
給与アップか福利厚生の充実、どっちがお得だと思う?
断然、給与アップです!給与が増えれば好きなものが買えますし、旅行にだって行けますよね。
たしかにそうね。でも、給与がアップすると税金もアップするから、一概にお得とは言えないのよ。
えー、そうなんですか!では、その辺りのことを詳しく教えてください。
給与と福利厚生費の違いとは?
給与は、従業員が提供する労働の対価として支払われる金額を指します。一方、福利厚生費は、従業員の生活の安定・向上や、働きやすい環境を提供するための費用を指します。つまり、何に対して支払われるかが異なります。
また、給与としての取り扱いと福利厚生費としての取り扱いでは、税務上の取り扱いが異なります。給与として計上された場合、それは税金の対象となり、従業員からは所得税が徴収され、企業はその税金を徴収して納税の義務(源泉徴収)があります。また、給与が増えると、従業員が支払う社会保険料や住民税の額も増える可能性が考えられます。一方、福利厚生費として計上される場合、それは税金の対象外、つまり非課税となります。
実は、給与が増加すると課税額も増加する
給与の増加は従業員にとって一見魅力的に思えますが、それは税金の負担の増大を伴います。所得税は収入が増えると増額する性質があるので、収入が1万円増加しても、手元に残る金額は1万円よりも少なくなります。
しかし、企業が1万円を福利厚生の向上に使い、それを福利厚生費として計上する場合、従業員の税金の負担は増えず、より良い労働条件や生活環境の向上に資することができます。
そのため、企業側で福利厚生を充実させることは、単に給与を増やすだけよりも、従業員にとって実質的なメリットをもたらす可能性があります。
実際に、福利厚生の充実は、従業員のモチベーション向上や離職率の低下にも寄与すると言われています。より良い労働環境は、従業員の満足度や生産性を高め、企業全体の業績向上に繋がる可能性も考えられるのです。
したがって、企業としては、給与の増加だけでなく、どのように従業員の福利を向上させるかを真剣に考えることが重要であると言えるでしょう。
福利厚生費は非課税
福利厚生費は通常、非課税であり、課税率は0%となります。しかし、もし提供された福利厚生が税務上、適切と認められない場合、それは給与の一部と見なされる可能性があります。その際、従業員の所得として計上され、結果として所得税が課税されることになります。
では、どのような費用が福利厚生費になるのでしょうか。2種類の福利厚生費と、福利厚生費の条件について説明します。
法定福利厚生費と法定外福利厚生費
福利厚生費には「法定福利費」と「法定外福利費」の2種類あります。
法定福利費
法定福利費とは、法律によって企業に義務付けられている「法定福利厚生」にかかる費用を指します。
法定福利厚生は「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険(40歳以上で加入)」「雇用保険」「労災保険」「子ども・子育て拠出金」の6つが対象です。
企業は、従業員を各種の保険に参加させ、それに関連する保険料や拠出金を所定の比率で支払う義務があります。法的に定められた福利厚生を従業員に提供しない場合は、処罰を受ける可能性があるので、企業としてはこの点を厳格に遵守することが重要です。
法定外福利費
法定外福利費は、特定の法律に基づくものではない「法定外の福利厚生」に関する費用を指します。
これは法律で定められているわけではなく、各企業が独自の方針で提供しているものです。そのため、どのような福利が提供されるかは、会社ごとに異なります。一般的に企業が取り入れているものとしては、通勤手当や住宅手当などの支給が挙げられます。さらに、退職金制度も法定外福利の一部として考えられます。
福利厚生の内容が豊富であればあるほど、企業は従業員にとって魅力的な場所となるでしょう。これは、現在の社員のモチベーションや忠誠心を高めるだけでなく、優秀な人材を引きつける力にもなります。
福利厚生費の条件とは
福利厚生費は非課税のため、企業の税金対策としても効果的です。ただし、従業員に提供したあらゆるサービスの費用が全て福利厚生費として認められるわけではありません。福利厚生費として計上するためには、3つの条件をクリアする必要があります。
すべての従業員が対象であること
福利厚生費として計上する必須の条件として、まずは「会社に勤めるすべての従業員が利用できるサービスであること」が必要不可欠です。
「経理部など一部の部署の社員のみが対象」「社内選考に通過した従業員のみが利用可能」といった場合は、福利厚生費として認められません。
常識の範囲の費用である
福利厚生費として計上できる金額は、「社会通念上常識的な金額にとどめる」必要があります。
例として、新年会や忘年会を頻繁に、または非常に高価な形で開催した場合、それは交際費として認識されるリスクがあるので注意が必要です。
社内のイベントや行事、そして社員旅行の経費も、合理的な範囲内での出費ならば受け入れられます。しかし、極めて豪華な海外旅行のような高額な経費は、福利厚生としては認められないことが考えられます。
現金や換金性の高いものの支給ではない
「現金や商品券による支給ではない」ことも必須の条件です。
従業員に直接的に現金を渡す行為は、福利厚生費としては受け入れられない点に注意が必要です。例えば、食事の費用補助として現金を提供すると、それは従業員の給料の一部と見なされ、課税される可能性が高まります。さらに、容易に換金できる金券を渡す場合も、福利厚生費としての扱いは受けられないと考えてください。
給与とは
給与は、従業員が勤務する企業や組織から労働の対価として受け取る金銭や金銭に準じる報酬を指します。給与は、労働者と雇用者との間の雇用契約、労働条件、業績などに基づいて決定されます。
また、給与は従業員の所得の一部として所得税の対象、つまり課税となります。給与所得者が年間で得た所得に対してかかる「所得税」、都道府県税および市町村税として、給与所得者が居住する自治体に支払う「住民税」があり、給与を支払う企業や組織が「源泉徴収」という方法で従業員の給与から自動的に控除して、税務当局へ納税します。従業員が受け取る手取り給与は、これらの税金や社会保険料などの控除を経た後の金額となります。
「給与が増える」と「福利厚生の充実」どちらがお得?
給与の増額は、従業員のモチベーションや満足度を高めるための鍵となる要素です。高い給与は、従業員に対する評価や、その労働への報酬として直接的に感じられるため、間違いなく喜ばれるでしょう。また、給与が増加すれば、即座に手取りが増加し、使えるお金が増えます。そのお金をどう使うかを自由に選ぶことができ、貯蓄や投資、趣味や旅行など、お金の使い道は無限です。しかし、この金銭的な報酬の増加には一定の代償が伴います。それは、給与が増加することで、税金の負担が従業員と企業の双方に増えてしまいます。
一方、福利厚生を強化することで、この問題を一部緩和することが可能です。福利厚生費は非課税になるという税制のメリットを活用することにより、実質的な給与のアップと同じ効果を生み出すことができるのです。例えば、法定外の健康診断、研修、リフレッシュ休暇など、税制の優遇が受けられる福利厚生は、従業員の健康やスキルアップ、精神的なリフレッシュをサポートし、その結果、定着率や生産性の向上に寄与します。
最終的には、どちらが「お得」かは、個人の現在の生活状況や将来の目標、価値観に基づいて判断する必要があります。例えば、家族を持つ人や将来に対する不安を感じる人は、福利厚生の充実を重視するかもしれません。一方、短期的な金銭的な利益を重視する人や自分でお金の使い道を決めたい人は、給与の増加を優先するかもしれません。
給与の増加は、間違いなく従業員の生活の質を上げる要因となります。しかし、税金の増加は避けられないため、企業は単に給与を増やすだけでなく、税制上の利点を最大限に活用するための戦略的なアプローチが求められます。従業員の満足度を高めるために、福利厚生の強化によって、経済的な負担を軽減する方法を見つけることもひとつです。福利厚生の充実を図り、非課税にすることで、お得と感じることも大いにあると言えるでしょう。
福利厚生充実には、外部サービスの利用が近道
福利厚生の充実において、外部サービスの利用は非常に効果的なアプローチとなり得ます。特に、多くの企業は専門的な知識やリソースを持たない福利厚生の領域での取り組みに難しさを感じることが多いため、この方法は多くのメリットを持っています。
外部サービスは、福利厚生に関する専門的な知識や経験を持っています。これにより、企業は最新の情報やトレンドに基づいた提案を受けることができます。また、既存のサービスやプログラムを利用することで、企業はゼロから福利厚生の制度を構築するよりも迅速かつ効率的に導入することができます。さらに、一から独自のプログラムを開発するのではなく、外部サービスを利用することで、コストを削減も可能でしょう。
福利厚生の充実は、従業員の満足度や生産性の向上に寄与する重要な要素です。外部サービスを活用することで、企業は質の高い福利厚生を効率的かつ経済的に提供することができるのです。
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