内閣府が企業に求める災害・防災備蓄とは?備蓄品の種類や量、選定のポイントを解説
防災備蓄対策は企業において日頃から準備しておくことが重要です。内閣府は、会社に対して災害時帰宅困難者のガイドラインを策定しており、「3日分の非常用備蓄用品」を備えておくことを求めています。この記事では、備えておきたい防災備蓄品の種類や量、ポイントについて紹介します。
目次
内閣府が企業に求める災害・防災備蓄とは?
内閣府(防災担当)の「大規模地震の発生に伴う帰宅困難者対策のガイドライン」(2015年3月)では、「一斉帰宅抑制における従業員等のための備蓄の考え方」が示されています。
そこには、「行政機関等は、発災後3日目まで救命救助活動、消火活動等を中心に対応し、発災4日目以降に帰宅困難者等の帰宅支援の体制へ移行していくこととする」とあることから、会社には帰宅困難者用として「3日分の非常用備蓄用品」を備えておくことが求められています。
ご参考/内閣府(防災担当)「大規模地震の発生に伴う帰宅困難者対策のガイドライン」
企業における災害・防災備蓄の重要性
企業には、従業員の生命の安全を守る責任があります。帰宅困難者へのサポート、災害発生時の地域サポート、地域社会の一員として災害の復旧・復興に貢献する責任も負っています。
まずできる対策としては、災害・防災備蓄です。内閣府がガイドラインに定める通り「3日分の非常用備蓄用品」を備えることで、いざという時の従業員の「安心」も備えておくことができます。
防災備蓄品を確保しておくことは、内閣府から会社に対して求められている他、条例として定めている自治体もあります。
たとえば東京都だと、会社の防災備蓄義務を「東京都帰宅困難者対策条例」で定めています。この条例は東日本大震災が発生した際、多くの従業員が帰宅困難に陥ったことをきっかけに制定されました。大規模災害が発生し、公共交通機関がストップ、復旧の見通しが立たない時に、多数の帰宅困難者が生じることによる混乱そして事故の発生などを防止するため、「一斉帰宅抑制の推進」、「一時滞在施設の確保」などを目的としています。
防災備蓄に関する条例は、東京都を含め多くの自治体においてあくまで努力義務。防災備蓄品を備えていないからといって、企業が罰せられることはありません。また法律で定められているわけでもありません。しかし、企業として従業員の安全を第一に考えると、防災備蓄品の確保は大変重要な対策と言えます。
ご参考/東京都帰宅困難者対策条例
従業員1人あたりに必要な災害・防災備蓄品の種類と量、選定のポイントは?
いざ防災備蓄品を用意しようと思っても、3日分の防災備蓄品について具体的なアイテムや量、保管場所などをイメージすることは難しいのではないでしょうか。そこで、まず企業が準備すべき防災備蓄品について内容を紹介します。
3日分の非常用備蓄品リスト
具体的に3日分の備蓄量の目安は以下になります。
<備蓄品リスト>
(内閣府「一斉帰宅抑制における従業員等のための備蓄の考え方」より)
1. 水については、1人当たり1日3リットル、計9リットル
2. 主食については、1人当たり1日3食、計9食
※水や食料の選択に当たっては、賞味期限に留意する必要がある。
3. 毛布については、1人当たり1枚
4. その他の物資(特に必要性が高いもの)
・毛布やそれに類する保温シート
・簡易トイレ、衛生用品(トイレットペーパ等)
・敷物(ビニールシート等)
・携帯ラジオ、懐中電灯、乾電池
・救急医療薬品類
下記にて詳しく紹介していきます。
水
【1人当たり1日3リットル、計9リットル】
過去に起きた災害では、人々は支援物資が届くまで時間がかかることや、道路などのインフラが妨げられることから、コンビニやスーパーに殺到していました。そのため、日頃から水を備蓄しておくことが重要です。
水を備蓄する際には、多くの人がペットボトル入りの水を選択します。しかし、一般的な水の賞味期限は2年程度であるため、防災備蓄品としては長期保存が可能なペットボトル入りの水が推奨されています。だいたい5~10年は持つとされています。また、軟水タイプが一般的に飲みやすいため、選ぶ際にはその点にも注意が必要です。
保管場所については、直射日光を避け、暗所に置くことが望ましいです。
食料品
【主食を1人当たり1日3食、計9食】
災害時に備蓄する食料品としては、乾パンやアルファ米、缶詰などがあります。真空パックに入ったお惣菜なども選択肢の一つです。しかし、ガス・電気などのライフラインが止まる可能性もあるため、加熱や調理不要の保存食を選ぶことが重要です。
また、腹持ちが良く、栄養バランスの良い食料品を優先することが望ましいです。栄養が偏ると体調不良やストレスが増加する可能性があるため、タンパク質を含む魚介類・肉類の缶詰、ビタミンや食物繊維がとれる野菜の入ったお惣菜や野菜ジュースなどの食品を備蓄することも考慮しましょう。
これらの食料品も直射日光を避け、暗所で保管することが望ましいです。
ご参考/食べながら備える、新しい備蓄「オフめし イート&ストック」
毛布などの防寒グッズ
【毛布については、1人当たり1枚】
災害時には体温を保つことが重要です。季節を問わず暖を取ることが必要なため、全身を覆うことのできる毛布やアルミ製の非常用防寒・保温シートを用意しておくことが望ましいです。
保管スペースを確保するためには、真空パックに入った毛布などが適しています。薄くて暖かい素材のフリースなどもおすすめです。また、緊急時には迅速に取り出せるよう、保管場所を社内で共有することも重要です。
その他、衛生用品・防災用品・医薬品など
【簡易トイレ、衛生用品(トイレットペーパ等)】
水道・電気などのライフラインが止まることも考えられます。職場の衛生環境を維持するためには、非常用トイレやトイレットペーパー、マスク、歯ブラシ、生理用ナプキンなど最低限必要な衛生用品を備えておくことも大切です。職場の衛生環境維持が従業員の健康維持にもつながります。
【敷物(ビニールシート等)、携帯ラジオ、懐中電灯、乾電池】
携帯ラジオや懐中電灯などの簡易照明、乾電池、スマートフォンなどの電源確保用の非常用発電機も用意しておくと安心です。緊急時のも使用できるよう定期的なチェックも欠かせません。
【救急医療薬品類】
災害により、怪我をすることもあるでしょう。消毒液や包帯、ガーゼ、絆創膏などの救急セットを用意しておくことも重要です。また、風邪などの感染症にかかっても医療機関をすぐに受診できるとは限りません。医薬品の準備も必要です。特に、胃腸薬と解熱剤はあると重宝します。さらに、持病のある従業員がいる場合は、普段から処方薬を常備しておくよう呼びかけておきましょう。
独自調査/企業の備蓄に関する実態調査
企業の備蓄に関して、心幸グループでは独自調査を実施しています。
会社が現在自社で足りていないと思う備蓄品についてや、備蓄されている非常食や物品の実態についても明らかになりました。
ご参考/企業の備蓄に関する実態調査
また、「企業における非常食の備蓄管理に関する調査」も実施しており、会社の備蓄の実態を知る上で参考になる調査結果となっています。
企業防災のポイント
備蓄品の準備の他にも企業防災のポイントがいくつかあります。防災計画の策定や災害時の誘導訓練など、普段から従業員と情報共有しておくことも大切です。ここでは、会社が災害時に安全かつ迅速な対応をとるためのポイントを紹介します。
防災計画の策定
防災計画を策定し、その中で災害時の対応方法や総責任者、情報連絡、救護、消火、避難など、それぞれに責任者と役割分担を決め、チームで対応できるようにしておくと安心です。
災害時の誘導訓練
従業員に対して災害時の建物の安全確認や誘導、避難ルートなどを訓練しておき、いざという時にスムーズに身を守れるようにしておきます。
防災設備の備え
防火器具や照明設備、非常換気設備などを備えておくことも大切です。初期消火の方法なども事前に調べておくと良いでしょう。
連絡手段の確保
災害時に従業員や関係先に連絡が取れるように連絡手段を確保することも重要です。電話が良いのか、メールが良いのか、ビジネスチャットやSNSが良いのか、到達率が高い連絡先を複数持っておくことをおすすめします。ただし、私用電話番号の管理など個人情報保護には注意が必要です。
災害時の業務継続計画の確立
災害時にも業務を継続するために計画書を策定しておくと良いでしょう。大災害など緊急事態が発生しても対応力の高い企業であることは、顧客からの信用にも直結します。注意点は、完璧な計画ではなく、自社にとって無理のない計画を立て、策定した後も点検・見直しを行っていくことです。
災害・防災備蓄品 準備のポイント
防災備品を準備・保管するにあたり、どのような点に注意すれば良いか、ポイントを紹介します。
全従業員分+α準備しておく
防災備蓄品は、正社員のみならずパートやアルバイトなど事業所で働く全従業員の量を確保しておく必要があります。人員の変動もあると思いますので、適宜補充をしておくことも大事です。また、来客分や地域住民の分など、余裕を持った量の防災備蓄品を準備しておくと安心です。
長期保存可能な飲料水・食料を準備する
災害時にいざ口にしようとした時に賞味期限が切れていては準備をしている意味がありません。長期保存可能な飲料水や食料を準備すると良いでしょう。また、定期的に賞味期限をチェックすることも大切です。
フードバンクを活用する
フードバンクとは、賞味期限切れではないが廃棄する予定の食料を引き取り、食料を必要としている施設や団体、困窮世帯に無償で寄付する活動です。さまざまな業者があるので、利用することでフードロスを防ぐことができます。食料備蓄品を一斉に新しいものと交換する際などに活用できます。
ローリングストック法を活用する
ローリングストック法とは、防災備蓄品を定期的に入れ替え、常に新鮮な物を備蓄しておくことで、災害時に必要な品物が確実に手に入るようにする方法です。
この方法では、賞味期限の短い食料品や消耗品などを含む防災備蓄品を、一定期間ごとに入れ替えることが基本です。例えば、賞味期限が1年の水や缶詰は、期限が切れる前に消費して、新しいものを補充しておくと、常に新鮮な食品を備蓄しておくことができます。
このように、ローリングストック法を取り入れることで、備蓄品の保管場所やコストの面でも効率的に管理できます。災害が起きた際には、新鮮で必要な物を確実に手に入れることができるため、防災対策の一環として取り入れられることが多くなっています。
食べながら備える、新しい備蓄について
さきほど、ローリングストック法について説明しましたが、それをフルに活用しているのが、心幸グループの人気サービス置き社食の「オフめし」を利用した「オフめしイート&ストック」です。
オフめしイート&ストックは、オフめしの常温保存そうざい(賞味期限1年以上)を利用した、新しい備蓄プランです。普段は日常食としておいしく食べて、災害時には非常食として活用。食品を常に余分にストックしておくことで、いざという時に役立てることができます。
福利厚生の拡充と防災対策(災害対策)が同時実現できるところが特徴で、従業員の「安心感」と企業に対する「信頼感」も醸成できます。また、普段から食べ慣れたものなので、非常時にも抵抗なくおいしく食べられることがメリットです。
気になる方はお気軽にお問合せください。
食べながらそなえる、新しい備蓄
オフめしイート&ストックは、賞味期限が製造から約1年あるオフめしの「常温そうざい」を利用した、普段は食べながらそなえる、新しい備蓄プランです。
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