健康経営の投資対効果を高めたい!効果が上がらない原因と改善方法とは?
健康経営に取り組んでいるつもりでも、イメージ通りの成果につながっていないと感じている経営者や担当者も少なくないのではないでしょうか。健康経営をしているにもかかわらず、思ったような成果が出ていない場合は、自社に合わせて改善が必要な場合が多いです。そこで、本記事では健康経営の投資対効果が上がらない場合の原因や改善点について解説します。
目次
健康経営に必要な「投資」という考え方
従業員の健康を増進、維持するためには費用がかかるため、その負担が大きい場合、できるだけコストを抑えたいと考えてしまいがちです。しかし、健康経営は企業価値や業績などの向上に効果的な施策です。そこで、投資対効果を期待して投資するものであることに意識を向けましょう。そうしたうえで、企業と従業員がともに期待する結果に辿り着くように、合理的判断や行動をとります。
たとえば、自社の課題に応じた指標の設定、それに基づいて評価することです。そのようにして取り組みが実際に結果につながっている様子を具体的に示せれば、従業員や投資家に取り組みの意義を理解してもらいやすくなります。結果、継続的に健康経営の取り組みができるので、効果も出しやすくなるという流れを作ることが可能です。
健康経営に必要な投資とは?
健康経営といっても、必要な投資はさまざまです。そこで、今回は主な投資方法である「外注」「環境」「人員」の3つについて解説します。
外注にかける投資
健康経営における外注費とは、社外の企業や個人に業務委託する際にかかる費用を指します。たとえば、産業医の選任にかかる費用です。従業員が50人以上いる企業では産業医を選任する決まりがあり、従業員のストレスチェックなどをしてもらいます。これは労働安全衛生法の第13条で決められているルールです。
さらに、労働安全衛生法の第66条の10において、従業員数が常時50人以上いる企業では、従業員の心理的負担がどの程度であるかを検査しなければならないと記載されています。また、労働安全衛生法の第66条によると、週30時間以上働いている従業員に医師による定期健康診断を行わなければなりません。ほかにも、法定の取り組みや自主的な取り組みにかかる費用として、特定業務従事者の健康診断、各種健康セミナー、ヘルスサービスなどの実施が挙げられます。
環境にかける投資
環境投資とは、社内設備にかかる費用を指します。具体的には、社内食堂や社内ジム、喫煙所、社内保健室や診療施設などの設置です。また、企業によっては健康管理システムを導入し、アプリなどで従業員の健康管理がチェックできるようにしています。社内保健室の設置が難しい場合は、インターネットを利用したオンライン医療相談(オンライン産業医サービス)を利用している企業も。
ほかにも、空調や照明などを入れ替えて、従業員ができるだけストレスを感じないように工夫するための費用も環境投資に含まれるものです。職場環境でストレスに感じやすいものとして、騒音や雑音、照明の暗さ、職場の掲示物がはがれている、空気の悪さなどが挙げられます。こういった職場環境は、たとえば、空調や照明などをストレスのかかりにくいものに入れ替える、観葉植物を置く、オフィスBGMを取り入れるなど簡単に取り組めることから改善可能です。
人員にかける投資
業務を行ううえで人員が足りず、従業員それぞれにかかる負担が大きすぎる場合、人員を確保するために新たに従業員を雇用しなければなりません。また、健康相談ができる人員として、健康アドバイザーを配備するためにかかる費用もこちらに含まれます。
健康経営に必要な施設を設置した場合、産業医や保健師、食堂の調理師など、その施設で働く人員の確保にかかる費用も必要です。福利厚生の充実は離職率の減少につながるとされており、社内食堂や社内コンビニエンスストアなどを設置して気分転換ができる状態を作ることは有効といえるでしょう。食堂のメニューも健康面に配慮したものやおいしいものがさまざまあれば、幅広い年齢の従業員が食事の時間を楽しみにできます。
費用対効果と投資対効果の違いは?
費用対効果とはかけた費用に対する効果で、取り組んだ内容に対して即効性を期待する場合に重視するのが費用対効果です。つまり、キャンペーンなど短期間での効果を見るのが費用対効果といえます。ちなみに、費用対効果はコストパフォーマンスと呼ばれることもありますが、正確な英語表現は「Cost-Benefit Performance(コスト・ベネフィット・パフォーマンス)」です。
一方、投資対効果は、投資金額に対するリターン、つまり収益性のことです。こちらは長期的な効果を期待している場合に重視します。健康経営は継続的な効果を期待して行うものであり、すぐに成果が出ていなかったとしても、将来的に効果が期待できるのであればそれは十分価値があるものといえるでしょう。そのため、重視したほうがよいのは投資対効果といえます。
健康経営の投資対効果が上がっていないと感じる原因
こちらでは、企業が健康経営を実施した際に投資対効果が上がっていないと感じる主な原因3つについてそれぞれ解説します。
効果が出ていることがわかりにくい
効果が出ているかどうかがわかりにくいことが、健康経営の投資対効果が上がっていないと感じる原因のひとつです。健康経営で最も重視しなければならないこととして、プレゼンティーイズムとアブセンティーイズムの解消が挙げられます。これは、企業の医療費負担や生産性に直接かかわる重要な問題だからです。
プレゼンティーイズムは、心身の健康に問題を抱えた状態で業務をしている状態を指します。たとえば、健康やメンタル面の不調があっても、薬を飲むなど対処ができる状態であれば欠勤までする従業員は少ないでしょう。しかし、体調の悪さを我慢している状態で仕事をしても集中できません。効率も悪く、ミスが起こりやすくなります。
一方、アブセンティーイズムは心身の健康に問題があり、欠勤している状態です。こちらはそもそも出勤できていない状態なので、生産にかかわることができません。
プレゼンティーイズムやアブセンティーイズムの問題はどちらも解決する必要があります。健康経営によって従業員の健康維持・向上を実現し、この問題が解決できれば、従業員が心身ともに好調で、100%の状態で業務を行うことも可能です。その結果、生産性が向上し、企業が負担する医療費も減少させられます。ただ、生産性の向上やプレゼンティーイズムの解消については確認が困難です。そのため、従業員に定期的にアンケートをとったり、離職率や休業率の低下がどうなっているのかを見て確認しなければなりません。
効果の現れ方に時間差がある
効果の現れ方に時間差があることも、健康経営の投資対効果が上がっていないと感じられる原因です。健康経営では内的効果と外的効果が期待できます。内的効果は従業員のモチベーションや生産性などが向上することで、外的効果は企業イメージやリクルート効果といったものが向上することです。
ところが、内的効果である従業員のモチベーションや生産性の向上は確認しづらいため、効果が出ていても気づきにくいケースが少なくありません。株価や企業イメージの上昇、リクルート効果の向上、離職率の低下も、健康経営開始後から年単位で徐々に現れる効果です。つまり、長い目で効果が表れるのを待てなければ、投資対効果が上がっていないという判断につなげてしまいます。
経営側と従業員側のニーズにギャップがある
経営側と従業員側のニーズにギャップがある場合も問題です。経営側は企業ニーズを重視してしまうため、その点を中心とした健康経営の内容を考えがちです。投資対効果を重視しすぎていると、アピール効果の高い施策や費用対効果の高い施策を導入しようとします。しかし、これが企業ニーズを押し付けることになるため、従業員にとっては職場で働くことがストレスになり、離職につながるケースもあるので注意しなければなりません。たとえば、休憩時間も十分にとれていない状況で、健康経営として休憩時間に運動時間を取り入れるのはマイナス効果といえます。
従業員にとっては、あくまでも働きやすい職場になることが重要であり、自分の力が発揮できたり、ストレスなく働けたりする環境を求めていることが多いです。そのため、「会社のために無理やりやらされている」と感じる施策はストレスにつながってしまいます。その後に待っているのは働きにくく、心身ともに辛い状態になることで従業員の施策に対する反感が高まり、効果も現れにくくなるという悪循環です。
健康経営の投資対効果を上げる方法とは?
こちらでは、健康経営の投資対効果を上げる3つの方法について解説します。
全体で認識を共有する
経営側と従業員側どちらのニーズにも合う施策を選んで実行することが大切です。主導は経営陣が行い、従業員を巻き込んで実行することが投資対効果の向上には必要といえます。
避けなければならないのは経営陣、施策の担当者、従業員それぞれの目標がバラバラになっている状態です。そうなってしまっては、望んだ効果に導くことができません。そのため、目標を明確にしたうえで共有するのが重要です。たとえば、目標を数値などで見える化すると共有しやすくなります。目に見える形の目標は具体的な行動がわかりやすく、認識の差異も減らせるので有効です。
指標の設定を3段階にする
指標が最終目標だけでは目標達成まで時間がかかりますし、最終的な指標のみを設定した場合は最終評価しかできません。つまり、途中経過の状態がわからないので、失敗しかけていても気づきにくいのです。最終評価だけではボトルネックや失敗の原因もわからず、効果的な修正ができないのが問題といえます。この問題を解決する方法が指標を3つの段階に分けることです。これによって、段階別で必要な修正ができるようになります。
第1段階は、施策の取り組み状況をイベントへの参加率などで確認します。第2段階は従業員の意識や行動の変容の確認で、運動の継続率などで確認可能です。第3段階は最終的な目標の達成度を従業員の生活満足度の向上などでチェックします。
第1段階~第3段階までそれぞれの指標は定量的なものを採用しましょう。第1~第2段階で確認すれば、施策に何か問題があった場合でも、どの段階でつまずいたのか確認しやすいです。早期発見できるようになることで修正の必要性がわかり、状況に合わせた方向修正ができます。
適切にPDCAを回す
健康経営の取り組みが成功したかどうか状況調査、検証のみで満足して終わってしまう企業も少なくありません。適切な指標の設定をしたうえで検証することにより、ボトルネック、成功・失敗の判断と原因の究明ができます。
検証結果は、あくまでも次に活かすのが重要です。健康に関する取り組みは個人の自己管理に任せる部分が多い傾向があるため、健康管理のPDCAについてはできるかぎりシンプルにしましょう。シンプルな仕組みのなかで従業員の行動(Do)の変容を促すことでPDCAを継続的にまわせるようになり、投資対効果が出やすくなります。
よくある質問
健康経営の投資効果を高めるために不可欠なものは何ですか?
健康経営の投資対効果を高めるために欠かせないのは、長期間で従業員の健康維持・向上を考えるという視点です。短期間で結果を確認しても、まだ最大の効果にまでたどり着いていない場合もあります。
最大限の企業利益につなげられるのは、従業員が100%に近い状態で実力を発揮した状態のときです。そのため、定期的に正しい方向に向かっているのか確認しつつ、長期間かけるつもりで取り組む姿勢が重要といえるでしょう。
健康経営に取り組む企業とそうでない企業の比較調査
実際に、心幸ウェルネスによる「健康経営の実践は、投資対効果が高いのか?「健康経営優良法人」取得企業と未取得企業で徹底比較!」の調査では、売上伸長・利益伸長・社員定着率について、いずれも取得企業が高い実態が明らかになっています。
健康経営の取り組みは、従業員の職務へのモチベーションを向上させるだけでなく、福利厚生を豊かにし、ワークライフバランスを改善することで、職場の環境をより良くし、生産性を高め、離職率を下げる効果が期待できます。
実際に健康経営を実践する企業においても、生産性の向上や離職率の低下を実感しており、調査においても数値にも表れています。すでに健康経営を実践する企業では、健康経営への投資は費用対効果があると判断されており、今後の投資意欲においても未取得企業よりも33.4ポイント高い結果になっています。より事業の成長率を高めるためにも健康経営は有効な施策と言えるでしょう。
上手に外部の力を借りながら取り組もう
健康経営の投資対効果を高めるためには、サポート実績が豊富な外部企業の力を借りることも必要です。「オフけん(オフィスに健康を)」は昭和24年に創業して以来、多くの企業をサポートしてきた豊富な実績があります。
企業の声を聞いた上で、サポートプログラムを企画、運営していきます。従業員に対して「健康セミナー」や「運動セミナー」、体成分測定や体力測定ができる「からだ測定会」の実施など体験型の健康経営サポートにより、形だけの健康経営ではなく、真(シン)の健康経営を実現しています。まずは問い合わせてみましょう。
元気な会社は社員が元気!健康経営サポート
オフけん(運営:心幸ウェルネス)では、「健康経営優良法人」認定取得サポートを中心に、企業の健康経営をバックアップしています。形だけの健康経営ではなく、従業員の健康と幸福に真剣に向き合う取り組みを提案。真の健康経営を実現しています。「からだ測定会」では、体成分測定・体力測定により従業員一人ひとりのからだ年齢が明らかに!他にも、健康セミナー、禁煙サポートなどのサービスを通して、従業員の健康意識を向上させ、元気な会社づくりに貢献します。
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